【3分でわかる】罰則はない!? フリーランスが知っておくべきマイナンバー制度の内容とその対策

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フリーランス,マイナンバー

2017年10月から「マイナンバー」の通知が開始されました。お手元に、マイナンバーの通知カードが届いている方もいるかと思います。

ただ、実際に、どのように使っていいのかわからない。そのような不安を抱いているフリーランスの方も多いことでしょう。そこでこちらの記事では、フリーランサーが知っておくべきマイナンバー制度の内容とその対策を、わかりやすく解説していきます。

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そもそもマイナンバー制度とは

そもそも、マイナンバー制度とはなんでしょうか。内閣官房のページには、次のように定義されています。

マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤です。

つまり、

  1. 情報の一元管理(行政の効率化)
  2. 手続きの簡素化(国民の利便性up)
  3. 不正の防止と行政サービスの利用促進(公平・公正な社会の実現)

の3つが、マイナンバー制度の目的であり、意義とされています。

通知は2015年の10月からはじまり、利用開始は2016年の1月からです。

管理方法は、日本に住んでいる方全員に12桁(法人は13桁)の番号をつけるというもの。まずは、「社会保障」「税」「災害対策」の3つの分野に限定して活用されます。

フリーランスとマイナンバー制度

では、フリーランスの方は、マイナンバー制度とどのように関係してくるのでしょうか。ポイントは3つです。

  1. 仕事を受注して報酬をもらった場合
  2. 仕事を発注して報酬を支払った場合
  3. 従業員を雇用している場合

1.【仕事を受注した場合】

フリーランサーは、仕事をすればとうぜん、クライアントから報酬をもらいます(無償の場合を除き)。その報酬に対して、クライアントは、税務上の処理をしなければなりません。

つまり、報酬支払者は、「税」関連の事務手続きとして、支払先(フリーランサー)のマイナンバーが必要となるのです。

具体的には、クライアントが税務署に提出する「支払調書」に、支払先であるフリーランサーのマイナンバーを記載します。支払調書とは、報酬の支払い内容を記載した書面のこと。

税務署は、この支払調書とフリーランサーが提出する確定申告書をもとに、申告漏れをチェックしています。

そこでフリーランサーは、求めに応じて、マイナンバーを提出する必要があるのです。

「個人番号カード」があれば便利

マイナンバーの提供時には「本人確認」が必要となります。お手元にマイナンバーの「通知カード」しかない場合には、

「通知カード」+「身元を確認できるもの(免許証、パスポート)」

を、クライアントに提出しなければなりません。しかし、「個人番号カード」があれば、それだけ大丈夫です

個人番号カードは、お手元に届いた通知カードの内容にもとづいて「郵送」「パソコン」「スマートフォン」から手続き可能です。個人番号カードの詳しい取得方法については、コチラをご覧ください。(専用サイト)

ちなみに、通知カードは簡易書留で届き、転送されません。

<ポイント1 クライアントの求めに応じて、マイナンバーを提出する>

2.【仕事を発注した場合】

仕事を発注した場合には、受注したときと逆の立場になります。つまり、支払調書に、報酬を支払った相手のマイナンバーを記載しなければなりません

ただし、支払調書を提出しなければならないのは、あくまでも「源泉徴収義務者」だけです。源泉徴収義務者は、「すべての法人」「一定の要件に該当する個人」「給与などの支払をする学校や官公庁」などです。

個人の場合、次のいずれかに当てはまる人は、源泉徴収義務者ではありません。

(1) 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
(2) 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人(例えば、給与所得者が確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。)

(国税庁HP)

※「給与」と「報酬・料金」の違いに注意してください。給与とは、雇用関係がある相手(指揮命令権の有無、最終的な責任の所在、資材の提供を受けているか、独立した状態といえるかなどを総合勘案して判断)に支払うもの。報酬はそれ以外の支払いです。

つまり、従業員などがおらず、ひとりで仕事をしているフリーランサーは源泉徴収義務者には該当しません。そのため、支払調書を作成する必要もありません

一方で、従業員(アルバイト・パート含む)がいる個人事業主の方は、源泉徴収義務者に該当します。ただし、支払い相手が法人の場合には源泉徴収はほぼ不要です。個人が相手で、かつ、源泉徴収が必要な報酬・料金に該当する場合に、源泉徴収が必要となります。(詳しくはコチラ(国税庁HP))

☆源泉徴収のしくみについて「フリーランスが知っておくべき「源泉徴収」のしくみ」

マイナンバーの請求内容は、提出時と一緒で

  • 「通知カード」+「身元を確認できるもの(免許証、パスポート)」
  • 「個人番号カード」

のいずれかとなります。あわせて、利用目的も明示しなければなりません。

誤って漏洩してしまった場合の罰則規定は、もっとも重いもので「4年以下の懲役か200万円以下の罰金、またはその両方(刑事罰)」となります。セキュリティには十分に注意してください。

<ポイント2 マイナンバーを請求しなければならないのは、「源泉徴収義務者」のみ。従業員を雇用していなければ、マイナンバーの請求は不要。>

3.【従業員を雇用している場合】

フリーランスの方で、従業員を雇用している場合には、従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得する必要があります。この場合の従業員には、パートやアルバイトも含まれます

上記1、2と同様に「税」の分野で、そして「社会保険」の手続きで使われます。

具体的には、「源泉徴収票」「給与支払報告書」「社会保険関連の被保険者資格取得届」などの提出書類に、マイナンバーを記載します。

ただし、マイナンバーはあくまでも、法律や条例で定められた手続きにのみ、使用することができます。それ以外で、マイナンバーの提供を求めたり、収集・保管したりはすることはできません。

また、マイナンバーの取得は、マイナンバーの利用が開始される2016年(平成28年)1月にする必要はありません。あくまでも、マイナンバーを記載する必要のある法定調書を提出するときまでに取得すればいいとされています。

<ポイント3 従業員を雇用していれば、必要に応じて、従業員やその扶養家族にマイナンバーを請求する>

論点:気になる罰則についての考察

ここで気になるのが、「罰則規定」についてです。

すでに述べたとおり、マイナンバーの漏洩に関しては罰則規定があります。しかし、もしマイナンバーを記載しないで法定調書を提出したらどうなるのでしょうか? また、従業員やフリーランスが、マイナンバーの提出を拒否したら? 罰則はあるのでしょうか。

内閣官房の「マイナンバー特設ページ」には、次のように記載されています。

社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。

また、国税庁のページには次のようにあります。

申告書や法定調書等の税務関係書類を税務署等に提出する際に、個人番号・法人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、個人番号・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。

つまり、「罰則はないけど、義務なので記載してください」ということになります。

マイナンバーを取得する側としては、マイナンバーの提示を請求し、そのことを記録しておくこと。あるいは、就業規則などに盛り込むことが、ひとつの対策になるでしょうか。

まとめ

フリーランスがマイナンバーを利用しなければならないシーンは、次のとおりです。

  1. クライアントの求めに応じて提出する
  2. 源泉徴収義務者に該当する場合に請求する(支払調書に記載)
  3. 従業員を雇用している場合に請求する(必要書類に記載)

ちなみに、確定申告書類にマイナンバーを記載するのは、2017年2月の確定申告からです。(マイナンバーの運用開始が2016年1月からなので)。フリーランスとしては、添付書類の削減など、実務的なメリットを期待しましょう。

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