コンテンツマーケティングは即時的な効果が出るものではなく、長期的に顧客との関係をつくっていく姿勢が必要です。そのため、自社でしっかりとした戦略を立てておかないと、行動がブレてしまいます。
「あれもやってみよう」「これもよさそう」と、戦術をつまみ食いする姿勢でいると、どれも中途半端で、本当に得たい結果は得られないことが多いのです。したがって、まずはゴールを決めて、そこに向けた独自の戦略を立てることが求められます。
ここで紹介するのは、コンテンツマーケティングを成功に導く4つの「プロセス」です。この一連の流れがコンテンツマーケティングの根幹となりますので、漏らさず押さえておきたいところです。
目的設定と環境分析
最初に、コンテンツマーケティングを行うことで解決したい「課題」を明らかにしましょう。
「認知度が低い」
「リスティング広告の効果が感じられない」
「顧客数が頭打ちになっている」
など様々だと思いますが、このようにまずは自社の現状を把握することです。
ただしこの時、「今月の売上を上げる」といった短期的な課題は、長期間取り組むことが必要なコンテンツマーケティングには向いていない課題となります。そのような課題解決を第一目的にする場合は、他の方法をとる方が得策です。
そして課題を解決したのちたどり着くゴールを明確にします。たとえば、「顧客数の頭打ち」という課題なら、「リード(見込み客情報)をより多く獲得する」「ブランド認知の向上」などをゴールに設定します。この目的・ゴール次第でその後の戦い方が変わってきます。
自社に合わせた目的設定ができたら、環境分析に移ります。業界や市場の動向、競合他社が取り組んでいることは何かなどの外部環境、自社の顧客へのインタビュー、社員からのヒアリングなどの内部環境を分析していきましょう。
ペルソナの設計
ペルソナとは「理想とする架空のターゲット像」のことです。自社が対象としている顧客イメージを設定しておくのです。項目としては、年齢・性別・職業・住所・バックグラウンドなどだけでなく、名前・顔写真まで詳細に決めておきます。設計時には、実際の購買層データやサイトへのアクセスデータなど、環境分析に基づいたターゲット像をつくりましょう。
これにより、「この顧客はどのようなコンテンツに興味を示すか」ということがわかりやすくなり、メンバー内でのイメージの食い違いを防ぐことができます。
また、BtoBビジネスを展開する企業の場合でも、ペルソナは「企業」ではなくあくまで「人」に置き換えて設計しておくのがポイントです。契約を結ぶのは企業同士であっても、それを決めるのはそこで働く「人」だからです。
コンテンツ構築・運用
ペルソナ設計ができたら、いよいよコンテンツをつくっていきます。ペルソナとして設定した情報から、「顧客が興味や好意を持つ情報とは何か」を考え、構築していきます。
では、どんなコンテンツがいいのか?
それは、顧客の「態度変容」を促すコンテンツです。たとえば、商品について「名前を知っているだけ」の状態から、「どんな商品なのか調べる」段階に移行する、「調べて知っている」段階から「購買を検討する」段階へと移行することができるコンテンツをいいます。
顧客には「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」があります。顧客自身が問題に気づいていない、もしくは気づいていても問題としていないものが「潜在ニーズ」、問題を解決したいと思っているのが「顕在ニーズ」です。
「潜在ニーズ」の段階では「お役立ち情報」など関心事に沿ったコンテンツを提供します。提供の仕方は、各種SNSやオウンドメディアなど、さまざまな方法があります。それぞれの特性を生かして、情報を提供・拡散していきましょう。
ただし、初めに述べたように、コンテンツマーケティングは長期的な姿勢が必要です。そのため、顧客に対して「提供し続けられる」コンテンツをつくらなければなりません。また、タイトルも工夫してアクセスされやすいタイトルをつけましょう。
このような負担を考えると、継続していくためには相当なパワーが必要となります。したがって会社には、コンテンツマーケティング専門のチームをつくった方がよい場合も多くあります。
ただ、中小企業でとてもそんな人員を割けないという場合は、社長自らが率先して取り組むべきと言えます。なぜなら、ペルソナや自社の状況を一番把握しているのは、社長自身だからです。
効果測定
一定期間、コンテンツの提供と運用ができたら、目的は達成できているのか確認する必要があります。これが効果測定です。コンテンツは提供したら終わりではありません。どこにどのくらい効果があったのかということは、必ず分析して、次のPDCAサイクルへつなげていくことです。
ここで役立つのが「KPI」(重要業績評価指標)です。KPIは「目的を達成するために見るべき指標」のことを指しています。目的やゴールのことをKGI(重要目標達成指標)と呼びますが、KPIはKGIがはっきりしていればすぐに設定できるものです。
たとえば、「認知度を高める」が目的の場合は「ページへのアクセス数」「SNSでのシェア数」などがKPIとなります。これによって、コンテンツを提供したことで、どの程度貢献できたのかが数値として見えてきます。
まとめ―戦略なき実行は成功しない!
見てきたように、コンテンツマーケティングには戦略が不可欠です。戦略には、顧客に何を届けるかという面だけでなく、長期間取り組む覚悟や人的リソースの割き方などの社内のしくみづくりという面もあります。
実際にコンテンツマーケティングに手ごたえを感じていない企業は、「とりあえずスタートした」「目的やKPIが設定されていない」など、戦略的な欠陥があります。
マーケティング全体にも言えることですが、戦略なき実行では成功しないのです。
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