起業家に惹かれるのは、きっと、幼い頃から経営者を見てきたからです。

木のカウンターに日差しが差し込む、小さなカフェの一角。起業家や経営者のイメージ。 思索・エッセイ

木のカウンターに日差しが差し込む、小さなカフェの一角。起業家や経営者のイメージ。

ライターという仕事をしていると、「なぜそのジャンルを選んだのですか?」と聞かれることがあります。

私は現在、起業家や経営者の取材をもとにしたビジネス書の構成・執筆をメインに活動しています。

編集者や著者の方からご依頼いただき、これまでに100冊以上の本づくりに関わってきました。

取材した経営者はのべ500名以上。上場企業の二代目社長やスタートアップの創業者、地域で事業を営む方など、さまざまな背景の方とお会いしてきました。

一見すると、「ビジネス書が好きな人」「経営に詳しい人」と思われるかもしれません。

ですがその背景には、もう少し個人的な理由があります。


幼い頃、父と母はそれぞれ「経営者」でした。

私が小学生の頃、父は小さな不動産会社を経営しており、母は近くでカフェを開いていました。

どちらも、自分たちの力で立ち上げた小さな商売でした。

当時は「経営」という言葉を知りませんでしたが、

「今日は契約が決まりそうだ」と電話をかける父や、

「新しいメニュー、どう思う?」と聞いてくる母の姿に、

子どもながらに“自分のお店をもつこと”の格好良さを感じていたのを覚えています。

その後、父の会社は倒産し、両親も離婚しました。

経営がうまくいかなくなると、生活も人間関係も、大きく揺らいでいきます。

私はそれを、身近で見てきました。


それでも私は、「経営者」という存在に惹かれ続けています。

家族の経験から、経営に対してネガティブな感情をもってもおかしくないはずです。

けれど不思議なことに、私はずっと「何かを始める人」から目をそらせずにいます。

それはきっと、倒産や離婚という結果よりも、

「自分で何かを始めようとした気配」を知っていたからだと思います。

計算よりも直感で、合理性よりも情熱で、人はお店を開き、会社をつくる。

その選択が成功するかどうかなんて、誰にもわかりません。

それでも何かを始めようとする人の話を聞きたい。

その想いを、誰かに届ける形で残しておきたい。

そう思って、私はライターになりました。


書くことは、敬意をこめて「引き受ける」ことだと思っています。

ビジネス書のライターという仕事は、取材を通して話を聞き、それを読める文章へと整えていく仕事です。

ですが実際にやっていることは、もっと人間的な営みに近いと感じています。

うまく言葉にならない想いを、何度も引き出して、何度も構成を組みなおす。

本人さえ忘れていたような価値観や原体験が、本の中で息を吹き返す瞬間があります。

そしてそれが、読者にとって「心に残る言葉」になることもあります。

この仕事をしていて、何よりうれしい瞬間です。


現在は「起業家・経営者に特化したライター」と名乗っています。

興味の幅は広いですし、他のジャンルも書いていますが、やはりこの分野に最もやりがいを感じます。

どこかで、あの頃の父や母の続きを書いているような気がしているのかもしれません。


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