スティーブ・ジョブズがいつも同じ服を着ていたのはなぜか。それは、できる限り、決断の回数を減らそうと工夫しているからだそうです。最近の研究によると、人間は、1日あたり特定数の決断をすると、大きな疲労につながってしまうとのこと。
であれば、なるべく決断をしなくて済むように、瑣末なことは、決断しなくていいような仕組みをつくってしまおうという発想です。では、決断の回数を減らすために、私たちの生活の中でできる工夫にはどのようなものがあるのでしょうか。考えてみました。
1.1日の大まかな流れを決める
定職についている人であれば、1日の大まかな流れはほぼ決まっているはずです。起床、出勤、仕事、帰宅から食事まで、おおむね同じ行動をくり返しているかと思います。そのタイムスケジュールを決めてしまえば、決断に困ることはなくなります。
そもそも、自分の人生を自分の意のままに操れないという人は、「自分アポ」をすっぽかしていると推測されます。つまり、自分で決めた行動計画よりも、他人の誘いを優先してしまうために、自分の思いどおりにいかなくなる。そして、決断の回数も増えてしまう。
そういったことがないように、自分にアポをきり、厳守するようにしてみてはいかがでしょうか。そうすれば、家族との時間、睡眠時間、勉強や運動など、したいことを・やるべきことに対して優先的に取り組めるようになるはずです。
2.食事のメニューを決める
食事のメニューを決めてしまうとなると、「人生における楽しみを阻害することになる!」と反発する人がいるかもしれません。たしかに食は楽しみという側面もあります。ただ、1日3食をすべて楽しんでいる方は、はたして、どのくらいいるのでしょうか。
実際のところ、無駄な決断をしつつ、たいして楽しんでいない方がほとんどだと思います。つまり、栄養を摂取する、あるいはお腹がすいたから食べている、ということです。そこに楽しみがあるとしたら、まるで幻想のようなものです。(実際にはないのですから)
もちろん、たまに美味しいものを食べるのはいいと思います。でも、毎回の食事を楽しみに生きているというのは、大人としてどうなのでしょうか。楽しみはたまにあるからいいのです。食事のメニュー決めという無駄な決断は排し、ルーティンにしてしまいましょう。
3.着る服を決める
これは比較的、取り組みやすいルーティンかと思います。スーツを100着も200着ももっている人など皆無だと思いますし、私たちの多くはタレントでもモデルでもありません。いつどんな服を着るのかを決めてしまうのは、そう難しいことではないと思います。
スティーブ・ジョブズの服装は、ある意味でアイコンになっています。「一張羅」と言えば聞こえは悪いかもしれませんが、意図的に決断をしないという発想のものであれば、意義があるのです。そう、のび太の行動は実は、脳科学からすればエコなのです。
フリーランスの方であれば、普段着と仕事着をわけて活用していれば、それだけで事足ります。種類は必要ありません。ちなみに私は、動きやすいタイツみたいなものを上下で着ています。休憩をかねて歩いているので、つねにスポーティーな格好です。
4.曜日ごとにやるべきことを決める
1日の流れを決めてしまうのと似ていますが、1日だけに限定せず、曜日ごとにやることを決めてしまうというのはいかがでしょうか。こちらも、定職についている方であれば、そう難しいことではないと思います。そう、「月曜日はゴミの日」と決まっていますよね。
そのようにして、曜日ごとにやるべきこと・やりたいことを決めてしまいましょう。食事のメニューも曜日ごとに変えてしまうのもいいかもしれません。飽きることなどありません。お腹がすく前に、食べてしまえばいいのです。半ば義務的に。疲れないためですから。
曜日というのはおもしろいもので、まったく同じ1日でも、曜日ごとに雰囲気があります。電車に乗っているとわかりますが、月曜日はどんより、日曜日はウキウキです。個人的に曜日ごとのスタイルを決めてしまえば、決断の数はグッと減るのではないでしょうか。
5.決断におけるマイルールをつくる
日常において、想定していない決断事が発生した場合。自分なりのルールを決めておき、対処するようにしてみてはいかがでしょうか。たとえば、「悩んだときはよりリスクのある方を選ぶ」「金曜日は夜の誘いを断らない」などです。あくまでも、自分ルールで構いません。
自分ルールがあれば、細かい事象を検討し、決断に時間をかける必要がありません。細かく設定するのではなく、大きな方向性だけ決めてしまえばいいと思います。「睡眠優先」「夕食は楽しみにする」などです。それぞれの好みにそってつくったマイルールは便利です。
あとは、日常的にマイルールを検証していくこと。途中で変わったっていいんです。続かないことなんて気にしなくていい。それよりも、いかに決断を減らす工夫ができるかということの方が、よっぽど大切です。そう、本当に重要な決断ができるようにするために。
まとめ
決断の数が決まっているというのは、現在での定説でしかありません。今後は変わるかもしれませんし、もしかしたら、決断の数が多ければ多いほど脳が活性化する、なんてこともある可能性があります。ただ、「無駄なことを考えない」という方針は、とても生産的です。
日々、やるべきことに注力できるようになるために。自分の人生を、もっと自分でコントロールできるようになるために。明日から、いや今日から、決断の数を減らす努力をしてみてはいかがでしょうか。きっと、仕事の生産性もあがるはずです。