『クロカン 』や『ドラゴン桜 』で有名な漫画家・三田紀房氏の著書『プレゼンの極意はマンガに学べ 』。本書は、プレゼンの極意というよりも、“マンガの極意”をたっぷり学べる良書です。
そこでこちらの記事では、本書の内容を「前編・理論編」「後編・テクニック編」の2回にわけ、お送りいたします。今回は後編の「テクニック編」です。
読者にページをめくらせる「引き」の技術
・読者を夢中にさせる「引き」の技術
→大きな謎を残したまま、あと一歩というところで「次週へ続く」と終わらせる。引きが大きければ大きいほど、ドキドキワクワクは高まる。マンガの醍醐味。ex.度肝を抜くようなことを言う→驚く
(「ピッタリの教材はこれだ!」「ええ!?」「マ……マンガじゃねーかよ!」)ex.謎のセリフを残して立ち去る
(「ま……負け続け?」「ど……どういう意味だ! オ……オイ……」「てめぇ! まてコラァ!」)・ページの最後のコマをセリフで終わらせる。続きが気になり、思わずページをめくってしまう
ex.「東大受験に参考書は必要ないって……」「そりゃ言いすぎなんじゃねえの? 受験生はみんな持ってんだし」「じゃあ聞くが矢島……」)
マンガの基本である「引き」。この引きを上手に使うことで、読者は次のページをめくらずにはいられなくなります。マンガ喫茶が繁盛するのも、この引きのテクニックのおかげかもしれません。
読者を夢中にする「魅せる」技術
・比喩の絵は、多少オーバーなくらいのほうがわかりやすい。
・決めゼリフはくり返す、そのときの顔は笑顔(微笑)で大きく
・会話が長くなるとき、ひとりのセリフが長引くときには、聞き手の顔や風景のカットなどを入れるとテンポがよくなる
・『ミナミの帝王 』のテクニック
1.毎回決めゼリフがある
2.顔がデカい
3.多彩な比喩表現を駆使する
→ダサく、ケバケバしく、3倍オーバーに描く。やりすぎぐらいでちょうどいいex.決めゼリフのあとのクローズアップ
人気マンガ『ミナミの帝王 』には、三田紀房氏が参考にしているテクニックがたくさん盛り込まれています。人気マンガを分析することは、マンガ家になるための大きな一歩になりますね。
読者に気づきを与える「変化」のテクニック
・強調したいメッセージは「コマを大きくして」表現する
・絵のタッチを変えることで、読者に立ち止まってもらえる(通常の絵→写実的なタッチ)
・あえて背景を描かず、真っ白のまま残したコマを適時挿入する
・あえてセリフを抜く。だれもしゃべっていないコマを挿入する。
物語が淡々と進んでいくだけでは、読者は夢中になります。その世界に入り込んでしまうような訴求力をもたせるには、変化が必要です。もちろん、マンガ家は意識して変化を盛り込んでいます。
よりマンガを面白くする「基本」のテクニック
・1コマのなかで3人以上の人物にセリフをしゃべらせない。1コマにつき1人、多くても2人の対話形式にする
・強烈な新キャラクターの登場は、作品の謎となり、読者の興味をくすぐるフックとなる
・象徴的なセリフ(メッセージ)は、作中で何度もくり返す。クドいと思われても構わない
最後は基本のテクニック。ちょっとしたことでも、きちんと意識することで、世界観が醸成されていきます。基本を踏襲しつつ、オリジナリティを目指すことが大切ですね。
まとめ
クリエイティビティが豊富な方ほど、マンガを感性で描いてしまっているのではないでしょうか。もちろん、それでマンガ家になれるのなら、それにこしたことはありません。ただ、たまには、先達の技術を論理的に分析してみるというのも、必要なのではないでしょうか。
まだ読んでいない方は、ぜひ「理論編」もあわせてお読みください。