日米地位協定の危険性~相模補給廠の爆発事故がもしテロだったら~

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先日発生した、相模補給廠(さがみほきゅうしょう)での爆発および火災事故。相模原市は地元ということもあり、被害が拡大しなかったことにまずは安堵しています。

ただ、浮き彫りになったのが、日米地位協定の欠陥。いざというときに、日本側が対応できないというのでは困ります。


日米地位協定と日米安全保障条約

そもそも日米地位協定とは、次のとおりです。

「日米地位協定(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定)は、在日米軍による施設・区域の使用を認めた日米安全保障条約第6条を受けて、施設・区域の使用の在り方や我が国における米軍の地位について定めた国会承認条約。」(外務省

日米安全保障条約第6条とは、冒頭だけご紹介すると次のとおりです。

「侵略に対する抑止力としての日米安保条約の機能が有効に保持されていくためには、我が国が、平素より米軍の駐留を認め、米軍が使用する施設・区域を必要に応じて提供できる体制を確保しておく必要がある。第6条は、このための規定である。」(外務省

何が起きているかを知らされない現実

つまりまとめると、「米軍は日本の安全のために駐留していいですよ」というもの。「日本の安全のため」、と言われれば聞こえはいいですが、平たく言えば、「敗戦によって武力を放棄した日本を守るため、という大義名分のもと、日本国内での占領を法的に続けていく」ものです。

事故が発生しても、日本側はすぐに消火活動を行うこともできなければ、何が燃えているのかも知ることはできません相模補給廠での爆発・火災事故においても、倉庫に何が入っていたのか分からなかったため、安易に放水できず、鎮火までじつに6時間半を要しました。

集団的自衛権と日米地位協定のバランス感

2004年に発生した、沖縄国際大学での米軍ヘリ墜落事故。当時も、日米地位協定に関して批判がなされました。消火活動が終わった後、アメリカ軍が現場を封鎖したからです。大学関係者をはじめ、警察や消防も現場に入ることはできませんでした。日米地位協定があるために……。

有事の際はアメリカに対応してもらう変わりに、平時の際はアメリカの駐留を認める。そのバランス感で考えると、集団的自衛権の行使を容認した日米安全保障条約の改定が採択されるのなら、日米地位協定の改定も当然に行われるべきものだと思いますが。

国民の無知と無関心

強行でもなんでも採決を断行し、既成事実さえつくってしまえば日本人は従う。そんなアメリカ側の分析にまんまと当てはまっている日本。他国では、時代の変化によって当然に地位協定が改定されているのにも関わらず、国民の無知と無関心によって、改定の機運は下火のまま。

せめて有事の際だけでも、声をあげるようにしたいものです。これがもしテロだったら、地元相模原は戦場になっていたのかもしれないのですから。日本はいつまで、一方で謝罪を続け、一方で「敗戦国だから仕方ない」と占領を容認するのでしょうか。

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