インタビューを行ううえで大切なのは、質問やその回答事項だけではありません。「どのような目的でインタビューを行うのか」や「どのような記事に仕上げるのか」など、事前の“企画”がしっかり練られていないと、良いインタビューはできないのです。
そこで今回は、インタビューにおける企画について考えていきましょう。
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なぜ企画が重要なのか
そもそも、インタビューには基本となる流れがあります。
- 企画立案
- アポ取り
- 質問事項立案
- インタビュー本番
- 編集
- 仕上げ・納品
このように、それぞれの項目を経てインタビュー記事は完成します。そのうち企画は、インタビュー取材におけるスタートなのです。
スタート段階において、「目的」「意図」「使途」などが明らかにされていないと、それぞれの担当者が同じゴールを共有できません。
同じゴールを共有できていないとどうなるでしょうか。それぞれが、違う方向性でインタビューを行ってしまう可能性があるのです。その結果、完成した記事にブレが生じてしまいます。
インタビューにおける企画の考え方
インタビューがブレてしまわないよう、あらかじめ企画を立てておきましょう。インタビューにおける企画立案においては、次の項目を決定します。
- インタビューの目的
- 想定されるインタビュイー(聞く相手)
- 記事の掲載先
- 想定読者(ペルソナ)
- 完成イメージ
つまり、「何のために」「誰に聞き」「どこに載せ」「誰に、どんな体裁の記事を見てもらいたいのか」ということを定めるのが、インタビューにおける企画となります。
たとえば、企業のホームページに掲載するための「社長インタビュー」と、リクルートに活用する「新入社員インタビュー」、新商品プロモーション用の「開発者インタビュー」は、それぞれ目的も想定読者も異なります。
掲載する媒体も、WEBの場合もあれば、パンフレットということもありますし、リーフレットや小冊子になることも考えられます。それぞれの特徴を把握し、企画を立てましょう。
インタビュアー・インタビュイー・執筆者の関係性
企画段階で考えておきたいのは、インタビューにおけるキーパーソンについてです。キーパーソンとは次の三者です。
- インタビュアー(話をうかがう相手)
- インタビュイー(聞き手・質問者)
- 執筆者(書き手)
この三者が同じ方向を向き、明確なゴールを共有できれば、成功する可能性が高まります。反対に、三者がそれぞれ勝手に仕事を進めてしまえば、成果物も良いものにはならないでしょう。
大切なのは、いかに情報を共有できるか、ということです。それぞれがモヤモヤしたままインタビューを行っては、優れたインタビューに仕上がるはずがありません。
望ましいのは、インタビュアーは「何を聞かれるのか」「何を話すべきか」をあらかじめ想定しており、インタビュイーは「何を聞くべきか」「どこを掘り下げるべきか」を理解していて、さらに執筆者は「インタビュアーは何を伝えたいのか」「読者はなにを知りたがっているのか」を把握している状況です。
このような状況を、企画の段階から構築していきましょう。
つねにゴールを意識すること
いずれにしても、インタビューの成果は完成した記事によって図られます。より良いインタビュー記事に仕上げるためには、それぞれの担当者がつねにゴールを意識しておくことが大切です。
たとえば、あらかじめ見本となる記事をいくつかピックアップしておけば、迷ったときに軌道修正をすることができるでしょう。しかし、共通の地図を用意しておかなければ、「良い記事とはなにか?」という森に迷い込んでしまうかもしれません。
企画とは、同じゴールを目指すためのマップであり、進むべき方向を示してくれるコンパスであり、それぞれの担当者が意思疎通をはかるためのコミュニケーションツールでもあります。
安易に「企画よりもインタビュー本番が大事」と考えてしまわずに、企画の段階から注力していきましょう。それが結果的に、成果物の質につながります。
まとめ
インタビューは、ひとりで完結できるものではありません。複数の人が関わる社会的な取り組みです。より良いインタビュー記事を作成するためにも、企画の重要性について、ぜひ、あらためて考えてみてください。