論文の書き方を記した教科書といえば?
そこで今回は、戸田山和久さんの著書『新版 論文の教室―レポートから卒論まで 』を紹介したいと思います。
新版 論文の教室―レポートから卒論まで
こちらでは『新版 論文の教室―レポートから卒論まで 』で紹介されている、「論文の書き方」をご紹介しています。
<論文の三本柱>
論文にはつぎの三つの柱がある。(1)与えられた問い、あるいは自分で立てた問いに対して、(2)一つの明確な応えを主張し、(3)その主張を論理的に裏づけるための事実的・理論的な根拠を提示して主張を論証する。
「論文ってなんだろう?」「論文って、結局なにを書けばいいの?」。そんな素朴な疑問に対する答えが、この三本柱です。問い・主張・論証さえあれば、とりあえずは論文の体をなすということですね。
<「結論」よりも「論証」の説得力>
論文の評価のほとんどは、論証が正しくなされているかによって決まる。つまり、主張(結論)を支えるだけの論拠がきちんと与えられているかが重要だ。これに比べれば、結論じたいの正しさはあまり重要ではない。
論文のテーマになるほどの問いは、そう簡単に答えが出せるものではいけません。答えがあったら、わざわざ論じる必要はありませんよね。だからこそ、正解のない答えに時間をかけるのではなく、論拠に時間をかけるべき、ということです。
<自分の考えを普遍化する>
論文は自分の考えを書くものだ。ただし、自分の考えを普遍化されたものとして書く。
論文では、主観的な感想を述べてはいけません。ただ、それはあくまでも「根拠の無い主張」という意味で。つまり、主観的な意見でも、根拠があって論証できるものなら構わないのです。
<論文は“瓦はり”ではなく“ペンキ塗り”>
論文は書き下ろすものではない。育てていくものだ。
膨大な文章を書き下ろす、なんて、よっぽどの大作家でなければできません。そう考えると、書き始める段階から尻込みしてしまうのも仕方ないかもしれませんね。そうではなく、まずはアウトラインをつくり、少しずつ肉付けすればいい。そのほうが、精神衛生上もリラックスして書けるのです。
<わかりやすく>
わかりやすさだけが価値ではないのだ。でも、わかりやすく書くことが求められている場面というのは、どうしても存在する。
知識をひけらかして難しいことばを使っても、論文の質はあがりません(むしろ下がる?)。わかりやすさがすべてではありませんが、それでも、わかりやすく書ける場面ではわかりやすく書きましょう。
まとめ
・論文は「問い」「主張」「論証」で書く
・「結論」よりも「論証」に力を入れる
・根拠のない主観を盛り込まない
・論文は“育てる文章作品”
・わかりやすさを犠牲にしないこと
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