人を動かす文章を書く。
そのためには、往年の名著『人を動かす』に学びを求めるべきでしょう。
以下、人を動かすための7つのポイントをピックアップしてみました。業務上でもプライベートでも、おおいに活用できるテクニックばかりです。
1.読み手の自尊心を傷つけない
どんな立派な文章も、読み手の自尊心を傷つける内容であれば、読者からそっぽを向かれてしまうのは明白ですね。誰しも、自分が大切にしているものをケナされたくないでしょうし、バカにされたくもない。
たとえそれが、ちょっと後ろめたい趣味とか娯楽だったとしても。指摘されるのは「余計なお世話」なのです。人を動かしたいのなら、文章で批判も非難もしないこと。苦情も書かない。
【原文】
他人のあら探しは、何の役にも立たない。相手は、すぐさま防御体制を敷いて、何とか自分を正当化しようとするだろう。それに、自尊心を傷つけられた相手は、結局、反抗心を起こすことになり、まことに危険である。
2.読み手のほしがっているものを与える
読者は何をほしがっているのか? その点に着目しなければ、望む成果をあげることは難しいですよね。たとえばスーパーのチラシ。そこに、いつもより高い野菜ばかりが並んでいては、お客さんを呼ぶことはできません。
代わりに、「本日限り「家計の味方セール」開催中! 全品30%~80%OFF!」と書いてあればどうでしょうか。普段はA店に行っている人も、来てくれるかもしれません。人を動かすには、ターゲット読者がほしがっているものを提供すること。
【原文】
人を動かすには、相手のほしがっているものを与えるのが、唯一の方法である。
3.読み手に強い欲求を起こさせる
欲求とは、具体的に
- 読者の願望を叶えるもの
- 読者の悩みを解決するもの
のいずれかに大別されます。このどちらかを文章のなかで示すことにより、読者の心に強い欲求が起こります。
難しいことはありません。法律家であれば、「相続の円満解決法」を書けば良いですし、経営コンサルタントであれば、「売上が倍増する営業法」を書くだけです。ゲームの攻略法だって構わない。大切なのは、自身のスキルを生かすこと。
【原文】
「まず、相手の心の中に強い欲求を起こさせること。これをやれる人は、万人の指示を得ることに成功し、やれない人は、一人の支持者を得ることにも失敗する」
4.読み手に思いつかせる
とかく、情報があふれている現代では、「オススメ」という言葉の威力は薄い。それよりも、「芸能人◯◯御用達のお店」とした方が、お客さんを呼べますよね。つまり、「あそこは良いお店だ」と、読み手自身にに思いつかせるべきなのです。
これは、営業でも同じことでしょう。既存の営業手法に慣れきってしまった現代人に対し、押し売りは通用しません。有効なのは、可能な限り無加工の情報を提供して、顧客自身に選択させること。 そのためには、提示する情報の「選別」と「手順」が重要となるでしょう。
【原文】
人から押しつけられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうを、我々は、はるかに大切にするものである。すると、人に自分の意見を押しつけようとするのは、そもそも間違いだと言える。暗示を与えて、結論は相手に出させるほうが、よほど利口だ。
5.演出を考える
文章にストーリー性やドラマを盛り込むこと。そういった演出なしに、読まれることはありません。情報が右から左へと急速に流れてしまう情報社会では、読んでもらう工夫が不可欠なのです。今や、ライターも演出を学ぶべき時代なのでしょう。
その点、人気映画などは参考になります。起承転結ではありませんが、導入・本論・結論のように、読まれる文章を組み立てていくこと。事実を面白おかしく、そして興味をそそるように加工し、内容に引きこむようにしましょう。
【原文】
現代は演出の時代である。単に事実を述べるだけでは十分ではない。事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。
6.自分の過ちを書く
他人が成功した話よりも、不幸のどん底に落ちたときのエピソードのほうが耳目を集めます。「人の不幸は蜜の味」と言われうように、わたしたちは他人の不幸を知ることで、自身の溜飲を下げているのでしょう。ネットではとくにその傾向が顕著です。
だからこそ、まず、文章を読んでもらうために、自分の過ちを書きましょう。真正面から正論を吐いたところで、共感を得られることはありません。失敗談をありのまま、せきららにつづること。それがもっとも効果的な啓発につながるのです。
【原文】
私は煙草をやめさせようとしておどしたり、煙草の害を説いたりはしなかった。煙草の誘惑に負け、そのために多大の損をしたと自分の誤りを認めただけだった。
7.読み手を激励する
最後に、読み手を激励することも忘れないようにしましょう。人は、叱りつけるよりも、褒めるほうが行動をおこしやすいもの。誰にも取り柄はあります。強みを引き出してあげることで、人を前向きに動かすのです。
【原文】
大いに元気づけて、やりさえすれば容易にやれると思い込ませ、そして、相手の能力をこちらは信じているのだと知らせてやるのだ。そうすれば相手は、自分の優秀さを示そうと懸命に頑張る。
まとめ
・文章は“読者本位”で
・読み手の心に訴える工夫を
・書けることはなんでも書く
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