1.約束の支払い期日を過ぎたとき→「催促」をする

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フリーランスがクライアントの未払いに対応する手法その1。

まずは未払いのファーストステップ「1.約束の支払い期日を過ぎたとき」です。

「約束の支払い期日を過ぎたとき」とは

約束の支払い期日を過ぎたとき」とは、言葉のとおり、規定の(契約上の)支払期日を超過した日以降のことです。契約書に明記していない場合には、取り決めた業務(記事の納品など)を終えた後となります。

契約状況、クライアントとの関係性、その他さまざまな事情を考慮して、すぐに催促しない方も多いかと思います。ただし、いつまでも放置しておくと、時効が成立してしまう可能性もあります。一般的な債権の消滅時効は次のとおりです。

  • 運送料、宿泊代、飲食代などは「1年」(民法第174条)
  • 売掛金、給料などは「2年」(民法第173条、労働基準法第115条)
  • 工事の請負代金などは「3年」(民法第170条)
  • 退職金や貸金業者から借りた借金は「5年」(労働基準法第115条、商法第522条)
  • 個人で貸したお金などは「10年」(民法第167条)

売掛金とは、先に商品などを納品して、後から支払いを行う取引で発生する債権のこと。つまり、「後払い」時の「未収金」です。一方で請負代金とは、工事などの「請負契約」において、発注者が請負者に対して支払う報酬のことです。

フリーランスが契約を結ぶ際に多い「業務委託契約」は、民法173条の3号が適用されると考えられるので、消滅時効は売掛金と同様の2年となります(3年となるのは、あくまでも“工事の”請負代金です。民法170条参照)。

時効の起算日について

時効を考える際に、重要なのは「起算日」です。起算日とは、いつから時効が進行するのか、つまり「いつから数えて2年なのか」の、基準となる日のことです。

民法166条には、「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」と記載されています。ですので、契約書に支払い日が書いてあればその日から、書いてなければ業務完遂後(ex.納品後の翌日など)が妥当だと考えられます。

余談「請負契約と委任契約について」

余談ですが、「請負契約(民法632条)」と「委任契約(民法第643条)」の違いにもふれておきましょう。

請負契約とは、「仕事の結果に対して報酬を支払う」契約のことです。業務委託そのものは、法律上、直接規定する条文がありません。そのため個々の契約内容から判断することになりますが、その多くは「請負」に該当すると考えられます。

一方で委任契約とは、「定められた範囲内において、他人の仕事を肩代わりする」契約です。「出品代行」「ホームページ開設」「Webサイトの管理代行」などは「委任」となります。請負契約とは異なり、結果責任ではなく、遂行責任を負うことになります。

「約束の支払い期日を過ぎたとき」にとるべき手法

では、約束の支払い期日を過ぎたときにとるべき最適な手法はなんでしょうか。見出しにも書いていますが、それは「催促」です。催促とは、早く支払うように要求すること。つまり、「報酬が支払われていませんよ。早く払ってくださいね」と、相手方に伝えるのです。

もしかしたら、相手方は、単純に支払うのを忘れているだけかもしれません。ですので、いきなり法的手続きをとるのではなく、まずは連絡することが大切です。連絡方法として妥当なのは次の3つです。

  1. メール(チャット)
  2. 電話
  3. 訪問

上記の順番は、こちらの手間および相手方へのプレッシャーの度合いによって並べています。メールやチャットよりも、直接会話ができる電話、そして顔を見て話をできる訪問が、より効果を高められると考えられます。

ただし、私がオススメするのは、断然「1.メール(チャット)」です。なぜなら、記録が残るから。電話や訪問においては、証拠を残すには録音をしなければなりません。もし、録音し忘れてしまったら、裁判時に証拠として提出できません。電話や訪問時には注意しましょう。

ちなみに、よほど反社会的な方法でない限り、無断で録音しても違法とはならず、裁判時に証拠として提出することができるとされています(昭和52年7月15日東京高等裁判所判例、昭和59年8月10日盛岡地方裁判所判例)。

≫2.催促したけれど報酬が支払われないとき→「催告」をする

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