会社の採用時に履歴書が重要なように。フリーランスが仕事を得るために重要なのが「ポートフォリオ」です。実際、企業の採用活動と外注の判断は似通っている部分が多いように思います。しかし、その点を考慮せず、「できます」「やります」「がんばります」とだけ連呼しているフリーランスがいかに多いことか。それでは仕事をもらえません。
そこで今回は、フリーランスが作成するべき魅力的なポートフォリオについてご紹介しましょう。
「採用活動」と「外注判断」の共通点
企業(人事担当者)の採用活動と、現場(実務担当者)の外注判断には、共通点があります。それは、
ビジネス上の中長期的な「目標」があり、目標に応じたせた「戦略」があり、その戦略を実践するための「戦術」として人材を必要としている
ということ。
たとえば、『向こう10年間における市場シェア10%拡大のために(目標)、インターネットを主軸としたコンテンツマーケティングを強化しよう(戦略)。具体的には、オウンドメディア運営に注力する(戦術)。そこでまずは、人材を獲得(あるいは専門家へ外注)する』、というものです。
そもそもビジネスである以上、「なんとなく人を採用しようか」「どっちでもいいけど外注しよう」なんていうことはあり得ません。どんなに慣例化していようとも、数字ベースの“根拠”および上役への説得材料になる“理由”があるはずです。対内的・対外的に、そして明確に。
採用と外注における本質とは
そのうえで、人材の採用にしても、外部への発注にしても、本質はたったの2点だけです。「担当者の悩みを解決すること」および「担当者の願望をかなえること」。もちろん、担当者とは、採用であれば人事担当者であり、外注であれば現場担当者です。
とくに外注時に認識しておきたいのは、次の3つです。
1.企業は何を求めているのか?
「売上やシェアの拡大」「知名度の向上」「ブランディング」――。企業が求めていることは限られています。そのうち、外注を検討する背景となっているとくに重視したいことはなにか。それを知ることが、仕事を得るためのキーポイントとなります。
2.担当者の不安と願望
担当者としては、外注によって目的を達成できればいいわけです。ただ、担当者には不安もありますし、願望もあります。不安とは「失敗しないだろうか?(叱責・減給)」。願望とは「良い結果を残したい(評価・昇進)」。そして、最終的な成功を目指しています。
3.担当者はどこを見ているのか?
そのうえで、担当者は相手のどこを見ているのでしょうか。ポイントは、「まかせたい仕事を、安心してまかせられるか?」という視点です。とくに重要なのは、経歴、実績、人柄あたりでしょう。ですので、ポートフォリオにはこのあたりを盛り込む必要があります。
フリーランスはポートフォリオが命
こういった経緯があるため、フリーランサーはポートフォリオが大事になるのです。企業で言うところの「会社概要」や「沿革」、「社長の経歴」などが、フリーランスにとってのポートフォリオです。(あなたも仕事を受注するとき、相手企業の会社概要や社長の経歴をチェックしますよね? それと同じです。)
ここまでの話をまとめると、フリーランスにとってのポートフォリオは、担当者の判断材料となるのです。「この人にまかせて大丈夫かな?」「いい仕事してくれるかな?」「途中で投げ出したりしないかな?」「上司を説得できるかな?」。ポートフォリオは、そのような視点で見られています。
仕事をゲットできるポートフォリオの書き方&必須7項目
では、具体的に、ポートフォリオに必要の項目をご紹介しましょう。担当者の不安と願望から考えると、次の7つに集約されます。
- 「仕事はできるかな?」 →①経歴
- 「経験は十分かな?」 →②実績(専門性)
- 「やる気はあるかな?」 →③アピールポイント
- 「他の人と何が違うの?」 →④差別点
- 「上司に会わせて大丈夫?」→⑤マナー
- 「なにがすごいの?」 →⑥権威性
- 「一緒に仕事できるかな?」→⑦好意
これら7つのポイントをふまえてポートフォリオを作成することにより、仕事を受注できる可能性が高まります。もちろん、仕事の種類によって文面を調整することは、言うまでもありません。
とかく、ポートフォリオというと、自分が過去に作成した作品のことをイメージしてしまう方が多いです。しかし、過去に作成した作品だけで勝負するのは危険です。なぜなら、「過去の作品によって未来のクリエイティビティをアピールすることはできない」から。
だからこそ、未来を感じさせるポートフォリオを作成しなければならないのです。
もちろん、ポートフォリオは、仕事をする度に更新されています。そう、ポートフォリオは、一度つくって終わりなのではなく、自分とともに成長していくものなのです。ポートフォリオを充実させようと思えば、仕事に対する姿勢も、おのずと真摯になりますよ。
担当者の気持ちを理解できない人はダメ
最後に、フリーランスとして仕事をしていて感じること。それは、担当者の気持ちについて。おそらく、企業の担当者は、“自分だけのウォーリーを見つけたい”と思っているのではないでしょうか。
「私はこれができます!」「この原稿を見てください!」「一緒に仕事をしましょう!」……。とくに大手企業の担当者は、このように迫ってくる人材にウンザリしているように思われます。つまり、自分から見つけたいんですね。しかも、みんなが見つけたウォーリーではなく、できれば、自分だけのウォーリーを。
フリーランスのみなさん。そのように、担当者の気持ちをつねに考えましょう。素晴らしいスキルをお持ちの方は本当にたくさんいると思いますが、いかんせん、人間味に欠けているような気がしてならないのです。ボクもそうですが、不器用なんですよね。
だから、“人間味のある「職人」”になりましょう。ポートフォリオを制作する際には、ぜひ、そのように考えてみてください。あくまでも、ビジネスの相手は人間なのですから。
「自分ではどうも魅力的なポートフォリオが作成できない」あるいは「自分で作成したポートフォリオに自信がもてない」という場合には、お気軽にご相談くださいませ。
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