「技術としての速読」は、わたしたちの生活のなかに数多く存在しています。たとえば書籍。ちょっと検索するだけでも、速読関連の書籍がたくさんあることがわかります。
ただ、技術としての速読を追い求めることは、使わない英語を身につけようと努力するのと似ています。つまり、そこに“確固たる動機”が存在していないのです。
だからこそ、あきらめてしまう。三日坊主になり、続かない。では、どうすれば速読を身につけることができるのでしょうか。ヒントは「アウトプット先行型読書」にあります。
「アウトプット先行型読書」とは
アウトプット型先行読書とは、ジャーナリストの立花隆著『「知」のソフトウェア (講談社現代新書)』に書かれているものです。立花氏は、インプットには2種類あると書いています。
1つ目はアウトプットの目的が先行しているもの。つまり、アウトプット主体のインプットです。2つはインプットのためのインプット。目的はインプットそのものです。
そして、アウトプット先行型読書とは、前者のことです。あらかじめアウトプットすることを見越して、本を読む。その結果、目的が定まっていることもあり、速読になるのです。
タイトルを見るだけでも読書
では、なぜアウトプットを意識しておくと、速読につながるのでしょうか。答えは単純です。やるべきことが決まっている以上、ダラダラと読書している時間はないからです。
言うなれば、アウトプットという締め切りがあるために、今の自分にとって不必要な部分は飛ばし、最速で読むことができるのです。つまり速読は、手段ではなく結果なのです。
もしあなたが、明日からひとりでアメリカに行くとしたらどうでしょうか。必死で英語を勉強するはずです。しかも、すぐに使える英語を。ムダなことをしている時間などありません。
義務感だけでは続かない
いくら小手先の技術を学んでも、そこに確固たる動機がなければ、本当の意味でスキルを習得することはできません。義務感でやろうと思っても、心がついていかないのです。
ですから、「速読がしたい!」と思うのではなく、「◯◯という目的のために大量の読書が必要」というように、動機を変えることが先決です。それが、アウトプット先行型読書です。
ひとつの論文を書くために、どうしても10冊の本を読まなければならないとしたら、嫌でも速読になります。速読できなければ書けません。速読の本質は、そこにあるのです。
まとめ
立花氏は、『「知」のソフトウェア (講談社現代新書)』で次のように述べています。
二つのタイプのインプットをくらべると、目的先行型のほうが、無目的型よりもはるかに能率が高い。私の場合は五倍から十倍は能率がちがうといってよいと思う。
やるべきことが見えている。目的をもって読書をし、やるべきことを速やかに達成する。そのとき、意識することなく、高度な集中力を発揮することができるはずです。
これまでダラダラと無目的な読書を続けていた方は、ぜひアウトプット先行型読書に切り替えてみてください。きっと、自然に速読が身につくことと思います。