【注目の新刊】『偉大な組織の最小抵抗経路 リーダーのための組織デザイン法則』ロバート・フリッツ

偉大な組織の最小抵抗経路 リーダーのための組織デザイン法則

偉大な組織の最小抵抗経路 リーダーのための組織デザイン法則

本書『偉大な組織の最小抵抗経路』では、組織の“構造”に着目することで、組織をより良い方向へと導く方法論や考え方について、解説されています。

その主張がいかに優れているのかは、『学習する組織』の著者であるピーター・センゲが、序文で次のように述べていることからも明らかです。

つまらないアイデアを複雑にしてみせる安直なビジネス書やマネジメント手法が流行する昨今、幅広い生の現場体験に裏打ちされた深い洞察を見事なほどシンプルに提示してくれるものは滅多にない。

http://www.jrc-book.com/order%20seet/evolving/908148_194.pdf

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著者ロバート・フリッツについて

著者のロバート・フリッツは、ロバート・フリッツ・インク社の創立者であり、コンサルタント、映画作家、監督、さらには脚本家としても活躍しています。

これまでフリッツは、30年以上にわたる研究を通じて、構造力学の発展に貢献してきました。その研究成果が、本書にさまざまな形で活かされています。

フリッツのアプローチは、物事の“分析”ではなく、物事の“創出”に主眼が置かれています。そうした発想が、組織やビジネス分野へと応用されています。

フリッツのトレーニングコースには、これまで世界中で8万人を超える人が参加。構造について解説した著書は、世界的なベストセラーとなっています。

成否をわける2つの組織構造

本書の主張は明確です。

組織を動かす構造には2種類あり、その構造的な違いが、組織としての成否をわけているというのです。

ここでいう2種類の構造とは、「緊張構造」「葛藤構造」です。

「緊張構造」が支配している組織は、ビジョンとリアリティをもとに、成長していきます。まさに、「成功が成功を呼ぶ」状態です。

一方、「葛藤構造」が支配している組織は、成果をもたらさない活動に時間をとられ、悪戦苦闘し続けます。たとえば、派閥争いや根回しなどがその代表です。

このような組織の構造的な違いが、偉大な組織とそうでない組織の違いを生んでいる。それが、本書の主張です。


「最小抵抗経路」とは

タイトルにもある「最小抵抗経路」とは、その組織が目指すべき未来と、現状とのギャップを埋めるために必要な、“最小の抵抗を伴う行動”のことです。

リーダーは、問題解決に取り組むのではなく、目指すべき未来と現状とのあいだにゴム紐をかけて組織を引っ張り上げるべき、というのがフリッツの主張です。

そのとき、ゴム紐をかけている状態が、組織の「緊張構造」であり、ゴム紐が組織を引っ張り上げるときに生じる摩擦が、「最小抵抗経路」というわけです。

こうしたフリッツの主張は、組織を成長させたいリーダーや幹部社員、経営者にとって、意思決定スキルを向上させる重要なポイントと言えそうです。


自己組織化への批判

本書の「追記」でも述べられているように、フリッツは、近年話題の「自己組織化」に懸念を抱いているようです。

経営システムの自己組織化はたいていうまくいかない。組織の中で緊張構造を原動力にするには自己組織化では駄目なのだ。放っておけば現場のあちこちでバラバラな勢力が争い始め、揺り戻しに陥るからである。

http://evolving.asia/archives/354

このように指摘するフリッツは、自己組織化の問題点を、オーケストラに例えて鋭く批判しています。多くの読者は、その主張に膝を打つことでしょう。

2つの組織構造がどのような違いをもたらすのか。なぜ「緊張構造」の組織は成長し、「葛藤構造」の組織は悪戦苦闘を続けるのか。また、自己組織化の問題点とは。

その答えは、本書に書かれています。

偉大な組織の最小抵抗経路 リーダーのための組織デザイン法則

もくじ

序文 ピーター・センゲ
改訂版によせて
プロローグ
第1部 前進への道
    第1章 組織の構造 成功や失敗に至る道
・構造とは何か
・人の性格ではなく構造が成否を握る
・構造の定義
・組織は前進するか揺り戻すかのどちらかだ
・組織構造の法則
・揺り戻しが成功を相殺するとは
・なぜ揺り戻しに気づけないのか
・構造を変える
    第2章 緊張構造 緊張が成功の鍵
・緊張とは何か
・緊張と均衡
・緊張構造とは何か
・それぞれの目標が整合しているかどうか
・重要なことは目標をつなげること
・リアリティを正確に定義する
・さあ、行動のときだ
・緊張構造が支配的な組織の場合
    第3章 緊張構造チャートを描く 組織をデザインする鍵
・トップダウンでデザインする
・最も重要な目標を特定する
・今のリアリティを定義する
・行動計画を作成する
・基本計画を描く
・期限と責任
・マスター緊張構造チャート
・プロジェクトチームのために緊張構造チャートを使う
・自分自身のために緊張構造チャートを使う
・緊張構造チャートと自分自身の人生
・マスターチャートに詳細を書き込む
    第4章 テレスコーピング カウンターポイントを創り出す
・テレスコーピングとは何か
・テレスコーピングの効果
・統御された自律
・全体像を見る
・チームの仕事に焦点を合わせる
・組織を創作(作曲)する
・戦術的アプローチ
・行動ステップの種類によってグループ化する
・戦術を理解すること
・コントロールについての誤解
・学校制度で緊張構造チャートを使う
    第5章 チェックリスト チャートを精緻化する
・目標のチェックリスト
・今のリアリティのチェックリスト
・行動ステップのチェックリスト
第2部 揺り戻しの道
    第6章 葛藤構造 なぜ組織が揺り戻すのか
・葛藤構造の原因
・最小抵抗経路がシフトするとき
・組織の中の揺り戻し
・構造的な揺り戻しの原因
・揺り戻しは変革を台無しにする
・構造は何を求めているのか
    第7章 問題解決にまつわる問題
・葛藤構造は問題ではない
・問題解決の誘惑
・どのように問題解決が揺り戻しを引き起こすのか
・TQM(総合品質管理)から問題解決、そして揺り戻しへ
・TQMの揺り戻しを緊張構造で扱う
    第8章 華麗なる組織の葛藤構造
・成長と生産能力の葛藤構造
・販売と製造の葛藤
・成長と利益の葛藤構造
・最小抵抗経路を行く
・「新しいマネジメントスタイル」から来る葛藤
・自律分散と中央集権
・意思決定権限と失敗への恐れ
・葛藤構造はそこら中にある
・積み重なった葛藤構造
・葛藤構造を見つけるには
    第9章 葛藤構造の扱い方 構造をリデザインする鍵
・変革と継続性のジレンマ
・重要性の階層
・事例 ―― 変化よりも継続性を重視する場合
・選択せねばならない
・均衡を求める力
・葛藤構造から緊張構造へ
・厳しい選択をすること
第3部 組織をデザインする
    第10章 組織の目的 何が組織をひとつにするのか
・なぜ組織で働くのか
・目的のもたらす力
・「スピリチュアルな目的」
・言葉を超えた世界
・行動を目的に合致させること
・大切なことに取り組む
    第11章 ビジネス戦略 目的への最小抵抗経路
・ビジネス戦略の演習
・ビジネス戦略の間違ったアプローチ
・ビジネス戦略の正しいアプローチ
・事業戦略を考え直す
・ビジネス戦略構築法
・戦略計画への構造的アプローチ
    第12章 フレーム リアリティを見るベストな方法
・リアリティをどう見るか
・クローズアップ ―― 目の前の出来事・過度な詳細
・ロングショット ―― いつもぼんやり
・ミディアムショット ―― 客観的な形、傾向、パターン
・空間的に考えるということ
    第13章 真のビジョンを創り出す
・ビジョンを定義する
・ダイナミックな衝動 ―― ビジョン定義の出発点
・ダイナミックな衝動をどう見るか
・本物の志と価値
・将来ビジョンと今のリアリティをフレームで見る
    第14章 共有緊張構造
・共有ビジョンとは何か
・共有ビジョンから偉大な価値へ
・共有ビジョンと選択
・共有ビジョンの精神
・共有緊張構造
    第15章 偉大なる組織 緊張構造の上に築く
・偉大な価値から偉大な組織へ
・偉大な組織の構成要素
・幅広く分散した権限
・健全に保たれる関係性
・社会的勢力としての組織
・原則に基づく方針
・歯止めのきいた拡大
・全体デザインと首尾一貫した資源管理
・組織の力で、人々がいつもまとまっている
・構造が偉大さの基礎となる
    第16章 ニューリーン
・大手自動車メーカーにおけるリーンの進化発展
・心のフォーカスを変える
・物理的配置
・時間についての洞察
・価値命題
・無駄を欲求に変える
・不良・欠陥から優れたデザイン・実行へ
・四つのフェーズ
・チェックリストとリマインダー
    第17章 リーダーシップの構造力学
・株主価値という経営欺瞞
・利益最大化という誤謬
・BP社の転落
・AIG社、他の失敗事例
・バブルの「合理的説明」
・優れたリーダーシップの実例
・スティーブ・ジョブズの場合
・アマゾンのジェフ・ベゾスの場合
・ラフランス社のジョージ・バラーの場合
・ティナ・ブラウンの場合
・作業量と生産能力の関係
・リーダーを襲うプレッシャー
・リーダーに必要なもの
・教育投資の価値
・幹部チームの一体感
・組織中に浸透するリーダーシップ
エピローグ
追記 ふたつの誤解を解く
訳者あとがき 人と組織のパワーを解き放つ
用語集

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