競争がはげしい市場において。企業が生き残っていくためには、自社ならではの“強み”をいかした経営が必要です。
そんな強みをあらわす言葉として、経営学には「コア・コンピタンス」と「ケイパビリティ」という用語があります。
それらコア・コンピタンスとケイパビリティという用語は、日本語だと“強み”としてひと括りにされてしまいがちですが、それぞれに違いがあることをご存知でしょうか?
こちらの記事では、そんなコア・コンピタンスとケイパビリティの違いについて解説しています。
コア・コンピタンスとは
そもそも経営戦略には、「①ドメインの定義」「②資源展開」「③競争優位性」「④シナジー」という4つの要素があります。
- ドメインの定義:事業領域を決定すること
- 資源展開:ヒト・モノ・カネ・情報の蓄積と配分
- 競争優位性:競合他社に対して競争上の優位性を確立すること
- シナジー:上記3つの相乗効果について
このうち、企業の資源展開によってもたらされるものが、「コア・コンピタンス(Core Competence)」です。日本語に約すと「中核能力」ですね。
言い換えれば、経営資源を組み合わせて、その企業の独自性として生み出されたスキルやノウハウがコア・コンピタンスである、と言えます。
ちなみにコア・コンピタンスには、次のような特徴があります。
①さまざまな市場へアクセスする可能性を生み出す
②最終製品が特定の顧客の利益に重要な貢献をする
③競合他社が模倣することが困難である
※『経営学大辞典 』より
ケイパビリティとは
ケイパビリティとは、企業がもつ全社的・組織的な能力のことです。資源展開をベースにしているという点では、コア・コンピタンスと同じです。
ケイパビリティにおいて強調されているのは、“全社的・組織的”という点です。とくに、“バリューチェーン横断的な組織能力”こそ、ケイパビリティの主要な概念となります。
その点、コア・コンピタンスの場合、“バリューチェーン上にある特定のスキルやノウハウ(技術力や製造能力など)”を指しているため、そこに違いがあるわけです。
まとめ
・コア・コンピタンスとは、企業の資源展開によってもたらされたスキルやノウハウのこと
・ケイパビリティとは、企業がもつ全社的・組織的な能力のこと
・それぞれの違いは、バリューチェーン上のものか、バリューチェーン横断的なものか、という点にある