「生涯学習概論」合格レポート(近畿大学図書館司書)

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本稿では、近畿大学図書館司書コースの「生涯学習概論[’19-’20]」における、合格レポートを紹介しています。

※内容をそのままコピー&ペーストするのは厳禁です。あくまでも、解答例および書き方の参考にしてください。

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設題

設題は次のとおりです。

ラングランの生涯教育的思想とリカレント教育の思想の社会的背景について考えてください。(2,000字)

レポート作成上の留意事項・ポイント

・設題の趣旨を、よく理解してください。
・次に、テキストの内容を、よく理解しながら読んでください。
・テキストのなかに、設問に該当する箇所を見出したならば、その箇所を理解できるまで、何回も読み直してください。
・どうしても理解できなかったならば、参考書を読んでください。

総評基準についてのメッセージ

テキストをよく理解しており、設問に応じた論点が、的確に表現されているか否かが、総評の基準になります。

合格レポート

1.序論

「生涯学習の時代」や「生涯学習社会」などの言葉が一般的に使われている昨今。その言葉の意味するところはあまり意識されていない。しかし、生涯学習という言葉の意味を正しく理解していなければ、その精神を社会に活かすことはできない。そこで本論では、ラングランの生涯教育的思想とOECDのリカレント教育の思想に関する社会的背景について考えつつ、生涯学習の本質的な意義について考察する。

2.ラングランの生涯教育的思想とその社会的背景について

 「生涯教育」という概念が最初に用いられたのは1965年のことである。当時、パリで開催されていたユネスコの成人教育に関する会議において、成人教育部長を務めていたポール・ラングラン(Paul Lengrand)が提唱したフランス語の「education permanent」にその起源があるとされている。英語では「life-long integrated education」と表現されていた。英語表記からもわかるように、生涯教育という言葉には、これまでの教育にはない「integrated(統合)」という概念が含まれている。統合の具体的な内容としては、生涯のあらゆる段階で教育が必要という「時間的統合(垂直的統合)」と、学校以外の組織・機関における教育にも着目するべきという「空間的統合(水平的統合)」の2点を含んでいるのが特徴である(鈴木,2014)。では、なぜ教育に時間的・空間的統合が求められたのであろうか。その背景にあるのは、社会の急激な変化である。日本社会を例にとると、1965年前後において、カラーテレビの普及や新幹線の開通、高速道路の整備などが進められていた。一方で世界では、東西冷戦に伴う宇宙開発の激化や原子力の軍事利用などが行われていた。こうしたテクノロジーの進化に人々が対応するためには、時間と空間で仕切られた旧来型の教育ではなく、時期や場所にとらわれない教育、つまり「学校教育」以外の教育が必要となる。そこで、生涯教育的思想が提起された。
 ちなみに、ラングランの生涯教育的思想には、変化する社会への対応という側面以外に、個人の自立や懐疑の精神といった「個人主義」の理念が含まれていたことも付言しておきたい。日本で生涯教育という概念が普及したきっかけとして、1971年の社会教育審議会答申「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方」で取り上げられたことが挙げられるが、産業界からは肯定的に、労働運動側からは否定的に捉えられたのも、日本における生涯教育の議論に個人主義の概念が欠けていたためだと推察される。

3.リカレント教育の思想とその社会的背景について

 「リカレント教育」という用語が最初に使われたのは、1969年にベルサイユで開かれた第6回ヨーロッパ文部大臣会議であるとされている。当時、スウェーデンの文部大臣であったオルフ・パルメ(Olof Palme)が、スピーチの中で使用した(文部科学省,online)。その発想がOECDでも注目され、1973年に出された報告書「Recurrent Education:A Strategy for Lifelong Learning」では、あらためてリカレント教育という概念が使われている。
 その特徴は、教育と労働の期間をわけるモデル(フロント・エンド・モデル)から、教育と労働の期間が繰り返される(リカレント・モデル)への移行を示していた点にある。変化の激しい現代において、従来の教育期で得た知識や技能だけで対処するのは限界ある。そこで、教育と労働を繰り返すリカレント・モデルが提唱された。
 生涯教育との対比に着目すると、リカレント教育は、OECDが先進国による経済発展のための組織であることからも明らかなように、経済発展という実利的な関心が根底にあった。社会変化をその思想的背景としつつ、文化や人権などの関心に根ざしていた生涯教育とは、その点で大きく異なる。変化する現代において、経済発展という目的を達成するために、教育や労働のあり方を再定義するのがリカレント教育なのである。
 ただ日本においては、「平成7年度我が国の文教施策」において「「職業上必要な知識・技術」を修得するために、フルタイムの就学と、フルタイムの就職を繰り返すこと」(文部科学省,online2)と示されているように、社会に出た後の教育をリカレント教育の主軸としている。これは、義務教育あるいは基礎教育後の教育を総合的に捉えているOECDのリカレント教育とは異なる点である。

4.結論

 本論では、ユネスコの生涯教育的思想やOECDのリカレント教育に関する社会的背景について考察してきた。それぞれの内容からも明らかなように、社会の変化と教育は密接に関連しており、世界中で新時代に対処するための教育・労働が議論されてきた。そうした過程を経て形成されてきた生涯学習という概念もまた、個人の成長という視点を含む一方、社会的な要請に基づくものである点を強調しておきたい。

文字数 2094文字

参考文献

鈴木眞理・ほか編『生涯学習概論』2014、樹村房
文部科学省「我が国の文教政策」(昭和63年度)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpad198801/hpad198801_2_013.html(2019年5月28日)
文部科学省「平成7年度我が国の文教施策」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpad199501/hpad199501_2_093.html(2019年6月1日)

レポート作成のヒント

レポートを作成する際には、以下の点に留意しています。

1.構成を決める

レポートの構成は、「序論」「本論」「結論」が基本となるため、次のように組み立てています。

1.序論: ラングランの生涯教育的思想と、OECDのリカレント教育の思想における、意義や背景
2.本論:「① ラングランの生涯教育的思想」と「 ②OECDのリカレント教育の思想 」について
3.結論: 本論でまとめた内容に対する、筆者の主張や批判

2.テキストの該当箇所を自分の言葉でまとめる

ラングランの生涯教育的思想と、OECDのリカレント教育の思想について、該当箇所を読み込んだうえで、内容をまとめました。

このとき、自分の言葉で記述することが重要かと思います。

3.必要に応じて参考書等を使用する

参考書を参照するとレポートの内容に補足できます。テキストを読んだうえで、該当箇所をチェックしてみてください。

また、引用する場合は「」でくくり、出典を記載してください。内容の参考にしただけの場合でも、参考文献に記載します。

キーワード

本設題の場合、次のようなキーワードが挙げられます。これらの言葉に着目しつつ、まとめていく必要があるかと思われます。

・ポール・ラングラン(Paul Lengrand)
・ 「時間的統合(垂直的統合)」「空間的統合(水平的統合)」
・ オルフ・パルメ(Olof Palme)
・ 「フロント・エンド・モデル」と「リカレント・モデル」

参考文献

よくわかる生涯学習 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

新訂 生涯学習概論

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