“リーダー”と“マネージャー”。どちらも似たような意味で使われがちの言葉ですが、実は、それぞれ異なる役割を担うものとなります。そして、どちらも会社にとって必要な存在です。
では、リーダーとマネージャーはそれぞれどのような役割をもち、どのような存在なのでしょうか。「リーダーシップ」の観点からみていきましょう。
リーダーシップの定義
そもそもリーダーシップとは、広義における「他者への影響力」を意味しています。とくに会社組織で言えば、「人を統率する力」と言い換えてもいいでしょう。
ユクル(1994)によれば、リーダーシップの定義は次のとおりです。
リーダーシップとはプロセスであり、ある人が他者に対して行使する影響力である。これにより、集団や組織の活動や関係が導かれ、構造化され、促進される。
このことは、会社組織で言うと「人についていこうと思わせ、そのうえで彼らをまとめる属人的な影響力」と表現できます。
いわゆる経営者・管理者が、部下に対して行使する影響力のことですね。
リーダーとは
次に、リーダーについてみていきましょう。
リーダーとは、リーダーシップ(他者への影響力)を発揮する能力をもった人のことです。役割としては、「仕事の遂行」「集団の維持」「仕事と集団の変革」などが挙げられます。
学説的に見ていくと、リーダーには次の3つのタイプがあるとされています。
①特性論アプローチ(偉人説)
身体的特性(年上、背が高い、容姿に優れている)、社会的な背景要因(高学歴、出身階層)、社会的技術(知能指数、パーソナリティ、社交性)によるリーダー。
②カリスマ的リーダーシップ
フォロワーに対して、深く、尋常でない影響を及ぼすことのできる、個人的な資質をもったリーダー。
③変革的リーダーシップ
フォロワーとの相互依存的な関係を重視することで、積極的にフォロワーの信念やニーズ、価値をリーダーが臨む方向に入れ替えようとするリーダー。
マネージャーとは
次はマネージャーです。
マネージャーとは、いわゆる「管理監督者」のことです。公的に移譲された権限をもって、組織過程をコントロールする役割を担います。
役割の違いによって、対人的な影響力を重視するリーダーとは区別されます。とくに、リーダーが「変革者」としての顔ももつのに対して、マネージャーは「管理」がメインとなります。
リーダーとマネージャーの違い
上記をふまえたうえで、リーダーとマネージャーの違いについてみていきましょう。
端的に言えば、リーダーは「組織を変える存在」であり、マネージャーは「組織を管理する存在」です。
とくにリーダーの役割が重要になるのは、組織が硬直化しているときです。マネージャー(あ管理者)の行動は、官僚制にみられるように、前例や規則を重視すぎる嫌いがあります。
そのような状況を克服するのがリーダーです。リーダーが発揮するリーダーシップによって、硬直化を打破し、機能的な組織への変革を目指します。(バニー&ナヌス)