読みやすい文章を書くには、必ず何らかの秘訣がある。
そしてまた、その王道あるいは基礎となる部分は、著名作家に学ぶべきでしょう。
・順序を意識すること、特に「ここまで読み進めてきた読者は何を知っているか」という観点で順序を意識することが極めて重要です。
わかりやすい文章を書くためには、「順序」や「構造」の工夫が欠かせません。その前提となっているのが「読者の理解度」です。もし、難解な書籍から得た知識を、そのまま自分なりの文章に書き変えただけならどうなるでしょうか。きっと、読者はたいして理解できません。
なぜなら書き手の知識や背景、理解力と、読者のそれとが一致するとは限らないからですね。だからこそ、つねに立ち止まって読者の理解度に想いを馳せてみること。それが重要となるのです。
・読者の意欲を向上させるには「変化」が一番です。同じ調子がずっと続く文章では、読者は飽きます。
変化がない文章は面白くありません。それは映画でもマンガでもアニメでも、あるいは劇場でも同じでしょう。もっと言えば、人生もそうかもしれません。浮き沈みがまったくなく、なんのドラマもない人生など、ただの無味乾燥な時間の経過でしかありません。
どうしても伝えたいことがある。ただ、その前提として理解してもらいたい単調な背景もある。クライマックスもあれば、哀愁に満ちた静かなラストシーンもある。そういった波のような変化をいかに上手に演出できるか。文章家の腕の見せ所ですね。
・著者は、読者の代わりに内容を前もって整理しましょう。
なにをあたり前なことを、と思われるかもしれませんが、これが案外できていない人が多い。自分が説明したいこと、主張したいことについての理解が浅いために、読者に対して思うように説明できない。理解してもらえない。根本的な原因は自分の理解不足あるのです。
文章を書きはじめる前に、今一度、内容を整理してみる。分類したり、まとめたり、はたまた分解しては、全体把握につとめる。そういった過程の中で、「どうすれば読者が理解しやすいか」を考案していく。その手間を惜しんではいけないのです。
・接続詞は読者を導くための道案内です。[……]文章という森の中を歩き回る読者を導く役割を持っています。
接続詞を多用すると、単調で説明的な文章になりがちです。ただ、理解してもらうための文章であるならば、それで良いのです。ムリに接続詞を省いてしまったばっかりに、内容が理解できなければ意味がありません。多少、助長であって良いではないですか。
「しかし」「たとえば」「もっとも」「もし」「とは言え」「ところで」。接続詞にはさまざまなものがあります。それらが出てくる度に「ここから先は例示があるな」「これまでの論説を否定する内容に転じるな」など、あらかじめ予測してもらえれば、読者の理解も促進されることでしょう。
・例は読者の理解を助けるものであって、著者が読者に自分の知識をひけらかすためのものではありません。
最後は文章書きのなかではアルアルネタでしょうが、いわゆる「知識のひけらかし」です。それも、特にタチが悪いのが、得たばかりの知識をさも自分が発見したかのような言質で説明することですね。これは、読者にとっても面白くない。
そもそも、著者はなぜその文章を書くのでしょうか。まさか、自己満足ではありませんよね。それなら自宅の机にそっとしまってあるノートの中でやればいい。一人でも他人の目に触れる文章であるならば、知識のひけらかしではなく、理解をうながすための例を用いたいものです。
まとめ
・読者の理解にあわせた順序が大事
・文章には変化をもたせる
・伝わらない文章は、書き手の理解不足が原因
・接続詞は道しるべとして活用すべし
・知識のひけらかしは無意味
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