- 事業で競合しているライバル企業に打ち勝ちたい!
- 愛する人をライバルたちに負けずにゲットしたい!
- 学業、スポーツ、各種行事において、負けられない相手がいる!
もしあなたに上記のような悩み(あるいは強い願望)があるのなら、うってつけの本がある。その名も『シンプルな戦略』だ。戦略とはつまり「戦うべき相手(競合)」「争うべき場所(市場)」「自分の能力(自社)」の3つを把握しつつ、有利に戦況を進めていくための策略や計画のことである。戦略を細かく具体的にしたもの、たとえば「◯月◯日に実施する作戦」にまで落とし込めば、これは戦術となる。
言葉の違いはともかく、あなたが仕事、恋愛、学業、あるいは人生そのものを勝ち進んでいくためには、戦略が欠かせない。なぜなら使える資源(体力、金、時間など)は限られているからだ。それらを的確に配分し、長期的な視野で計画を立てなければ、たとえ負けてしまっても文句は言えまい。
ただし! たとえ戦略について熟知していても、計画通りに実施できるとは限らない。なかでも、とくに戦略実行の障害となっているのが「複雑な戦略を立案してしまうこと」にある。そこで本書だ。『シンプルな戦略』には、優れた戦略を具体的に構築し、計画・実行するまでにすべきことが網羅されている。そう、それはまさに、複雑で使えない戦略を、シンプルで洗練された「実現可能な」ものに昇華させるための手順なのだ。
スティーブ・ジョブズの言葉にも次のようなものがある。
シンプルであることは、複雑であることより難しくなり得る。
『シンプルな戦略』中身紹介
まずは『シンプルな戦略』の目次をご紹介しよう。
1 今、なぜシンプルな戦略が必要なのか(その戦略は一言で言えるか;適切でない戦略、戦略不在が悲喜劇をもたらしている ほか)
2 戦略構築の基本:そもそも戦略とは何か(戦略と言えるもの、言えないもの;戦略構築の基本となる六つのステップ)
3 シンプルな戦略の三つのパターン(基本ステップに沿った簡潔な戦略;軸に沿って広げる戦略 ほか)
4 シンプルな戦略で成功するために求められるもの(シンプルな戦略に求められる思考;シンプルな戦略に求められるディシプリン ほか)
全四章構成である。短く簡潔にまとめられているので読みやすい。まさにシンプルである。第一章でシンプルな戦略の必要性について学んだのち、第二章で戦略のキホンについて、第三章でシンプルな戦略の進行パターンについて、最終章でシンプルな戦略を成功させるために必要な要素を学ぶことができる。
第二章から本書の目玉ともなっている「戦略構築の基本ステップ」を抜粋しよう。次の6つだ。
ステップ1:戦略目的を設定する
ステップ2:境界条件を再確認、再定義する
ステップ3:環境を認識し、自社独自の洞察を導く
ステップ4:課題を抽出し、構造化する
ステップ5:戦略的方向性を創出、選択する
ステップ6:戦略としてまとめ上げる
目的→境界条件→環境分析→課題→方向性→まとめ と、シンプルな6つのステップで、誰にでも実行可能な戦略立案が構築できるのがポイントだ。
ここがオススメ!
1.戦略はもはや必須!
事業戦略と聞くと、一部の管理職や経営者だけが知っておくべき知識だと考えている方も多いかもしれない。大間違いである。たとえば、あなたが一兵卒の営業マンだったとして、会社の方針を理解していないのに、どうして商品を売れると言うのだろうか? あなたが企画部の一員だったとして、会社の長期的な事業展開を理解せずに、どうして斬新な企画が立案できるというのか? 戦略とは、企業や団体に属しているすべての人間が、その方針や活動の方向性について理解できるための指標なのである。
2.誰もが身に付けるべき知識!
なるほどたしかに、戦略を勉強することは、あなたにとって喫緊の課題ではないかもしれない。しかし、戦略が必要な場面はいつ訪れるのかわからない。もしあなたが、これまでどうも他人に出し抜かれ気味だと感じているのなら、それは戦略についての知識がないからかもしれない。目の前の仕事に集中するのも良いが、物事を俯瞰的に把握して、少しでも自分が有利になるように自らの手で未来を切り拓いていくこと。そのために戦略は必須なのだ。
3.マッキンゼー流!
著者は、あの有名な米国のコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に25年在籍しているディレクターだ。詳細は以下のとおりである。
山梨 広一
マッキンゼー・アンド・カンパニーディレクター。1954年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、スタンフォード大学経営大学院修了(MBA)。富士写真フイルムを経て、90年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。95年からパートナー。小売業、消費財メーカーおよびその他業界の企業の戦略構築や組織変革など、豊富なコンサルティング経験を有する。2010年からは、東京大学工学部大学院TMI(技術経営戦略学専攻)で「企業戦略論」の講義も行っている。
専門は企業戦略であるが、いくらでも応用が効くことは本書を読んでいただければお分かりいただけるだろう。
4.戦略の入門書としても!
そして、これから戦略について学ぼうとしている入門者にも適している。戦略についての分厚い専門書は多々あるが、はじめから手を出すと挫折してしまう可能性がある。その点本書であれば、ハードカバーでたったの300Pほどであるし、四章仕立てなので、好きなときに好きなところから読み進められるのでオススメだ。内容のシンプルさが、戦略初心者の理解を助けることだろう。
見直される戦略
本書は2014年3月に発売されたものだが、Amazonの中古品でも価格がそれほど低下していない。戦略という言葉がこれから益々一般化するにあたって、より注目されることは間違いないだろう。専門書に入る前の入門書としても、複雑な戦略論のせいで頭のなかが混乱している方にも、ぜひ『シンプルな戦略』をオススメしたい。買って後悔することはないだろう。
まとめ
『シンプルな戦略』を読めば
- 良い戦略、悪い戦略について学べる
- マッキンゼー流の思考法が体現できる
- 事例とともに実践的なアプローチを知ることができる
- 事業戦略をシンプルに理解できる
- 戦い方のレベルがぐっと上がる
そしてもし読まなければ……。あなたは引き続き、不利な戦いを強いられるに違いない。
お付き合いありがとうございました。多謝。
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英治出版
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