【書評】ドラッカーに挑戦するなら、『もしドラ』よりも『もしイノ(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』)をオススメしたい理由

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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら

『もしイノ』 を読みました。

高校野球という、およそ「企業家」や「イノベーション」とは遠いかと思われるシーンで展開されるドラッカーのエッセンスの数々には、正直なところ驚かされました。

全体をとおして、これからドラッカーの書籍に挑戦してみたいと思われる方には、『もしドラ』 よりも『もしイノ』をオススメしたいと思います。


多くの人は「イノベーション」と無関係に生きている

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ふつう、多くの人によってイノベーションは関係のないものです。なぜなら、イノベーションは「創造的破壊」とか「新機軸を打ち立てること」だと思われているからです。たしかに、そんな難しいことを、一般の人が容易にできるはずがありません。

たとえば本書にも事例として紹介されていますが、Apple社が開発したiPhone。あのiPhoneをイノベーションの代表例として理解してしまえば、だれもが「イノベーションとはすごいものだ。でも、自分には関係のないことだよね」と考えてしまうのもムリはない。

しかし、『イノベーションと企業家精神【エッセンシャル版】』 には、次のように定義されています。

イノベーションとは意識的かつ組織的に変化を探すことである

だいぶハードルが下がったのではないでしょうか。組織ではたらいている人、あるいは活動している人だれば、だれにでもイノベーションのチャンスがありそうです。

生活にドラッカーを同居させるメリット

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このように本書では、高校野球という日常(ある意味では非日常)をとおして、ドラッカーの理論を普遍化する試みをしています。そうした意味で、たいへん優れた書籍だと言えるかと思います。

私たちに関係ないと思われることを、視点を変えることによって、スッと腹落ちできるようにするだけでなく、実際に活用できるようにしてくれる。とくに、難しいと言われているドラッカーの理論を、野心的にも、一般に普及させることに成功している。

ふだんの生活に、新しい視点、とくにこれまでなかった視点を取り入れることは大切です。変化の激しい現代において、ドラッカーの思考を学ぶことは、大いに意義があることだと思います。

まずは素直に(真摯に)実践してみること

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また、本書に登場するキャラクターたちにおいて、優れていると感じるのは「素直に実践している」こと。変に解釈を曲げたり、独自に判断したりせず、まずは読んだままに理解して、実際に行動に移している。

これこそ、ドラッカーの理論を生かすうえで、重要なことなのではないでしょうか。とかく大人は、つい自身の経験や判断によって、他人の意見を都合のいいように解釈してしまうもの。どこぞのリーダーは、憲法ですら勝手に解釈していますよね。

でもそれは、学ぶ姿勢として、いかがなものかと思います。まずは素直に受け入れること。理解すること。そして、実行してみること。そのうえではじめて、ドラッカーの理論が血となり肉となるのではないでしょうか。

すべての人は企業家であり、イノベーションを必要としている

これからの激動の社会において、ドラッカーが提示している理論の多くは、きっと道しるべになってくれるはずです。『イノベーションと企業家精神』 もまた同様でしょう。

そのときに、まずはとっかかりとして、『もしイノ』を読んでみる。登場人物たちと同じように、素直に理解し実践してみる。そして少しずつ、ドラッカーの理論を吸収していく。

そのうえでさらに、自分の解釈を加えられたなら、そのとき、自分なりのイノベーションがおこせるのではないでしょうか。

関連書籍・参考書籍

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<著者>

岩崎夏海(いわさき・なつみ)
1968年生まれ。東京都日野市出身。東京藝術大学建築科卒。
大学卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』等、テレビ番組の制作に参加。その後、アイドルグループAKB48のプロデュースなどにも携わる。2009年12月、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(ダイヤモンド社)を著し、ベストセラーに。他の著書に『エースの系譜』(講談社)、『小説の読み方の教科書』(潮出版社)、『チャボとウサギの事件』(文藝春秋)、『宇宙って面白いの?』(講談社)、『まずいラーメン屋はどこへ消えた?―「椅子取りゲーム社会」で生き残る方法』(小学館)、『部屋を活かせば人生が変わる』(部屋を考える会著/夜間飛行)、『『もしドラ』はなぜ売れたのか?』(東洋経済新報社)、『競争考』(心交社)などがある。
また、ドワンゴ・夜間飛行にて有料メルマガ『ハックルベリーに会いに行く』を配信中。Youtubeチャンネル『ハックルテレビ』を運営。2015年から岩崎書店の社外取締役となり、児童書のプロデュースにも携わる。他に、「岩崎夏海クリエイター塾」の講師を2014年から務めている。(Amazonより)

<目次>

プロローグ
■第一部
第1章 夢は『もしドラ』を読んだ
第2章 夢は『イノベーションと企業家精神』を読んだ
第3章 夢は民営化に取り組んだ
第4章 夢は人事に取り組んだ
第5章 夢は小さくスタートした

■第二部
第6章 夢は外に出て、見て、問い、聞いた
第7章 夢は予期せぬ出来事に遭遇した
第8章 夢はイノベーションの機会に集中した
第9章 夢は居場所とは何かを考えた
エピローグ

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