はじめに|単発で終わらせない、フリーランスライターの営業力
「せっかく案件を受注しても、単発で終わってしまい収入が安定しない…」 「同じクライアントから何度も依頼される人と、一度きりで終わる人の違いは何だろう?」
そんな悩みを抱えるフリーランスライターは少なくありません。
実際、私がライター仲間100人にアンケートを取ったところ、継続案件の割合が収入の8割を占めるという結果が出ました。つまり、安定したライター業を営むためには、継続案件の獲得が不可欠なのです。
私自身、駆け出しの頃は毎月営業に追われ、月収も10万円程度で不安定でした。しかし、あるクライアントからの指摘で「納品後のフォロー」を見直したところ、継続率が30%から85%に向上。現在では20社以上のクライアントと継続的な関係を築いています。
実は、単発案件を継続案件に変えるための秘訣は、**記事を納品した後の「たった一度のメール」**に隠されています。
この記事では、私が実際に継続案件を獲得してきた経験をもとに、納品メールで「また依頼したい」と思わせる3つのポイントと、今すぐ使える実例メール文をご紹介します。この記事を読めば、あなたの継続率が確実に向上し、収入の安定化が図れるはずです。
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なぜ9割のライターが「継続依頼」をもらえないのか?
継続案件がもらえないライターには、共通する問題があります。
よくある失敗パターン3つ
1. 納品しただけで満足している 「記事を納品しました。ご確認お願いします」だけで終わってしまう。これでは事務的すぎて、あなたの人柄や仕事への熱意が全く伝わりません。
2. クライアントの立場を考えていない 発注者は常に「この人に継続して任せても大丈夫か?」を判断しています。単発の成果だけでなく、今後の安心感を求めているのです。
3. 営業のタイミングを逃している 最も印象に残るのは、仕事が完了した直後です。このタイミングでの印象が、次の依頼を左右します。
これらの問題を解決するカギが、「納品後のメール」にあるのです。
なぜ「納品後のメール」が継続依頼につながるのか?
納品後のメールは、単なる事務連絡ではありません。あなたの仕事に対する姿勢や熱意を伝え、発注側に「このライターとなら、今後も一緒に仕事をしたい」と思わせる絶好のチャンスです。
心理学的に見た3つの効果
1. 信頼感の向上 丁寧な対応は、あなたの誠実さをアピールします。特に「最後まで責任を持つ人」という印象を与えられます。
2. プロ意識の伝達 記事への考察や改善意欲を示すことで、「ただ作業をこなすだけではない、プロ意識の高いライター」と評価されます。
3. 継続への心理的ハードルを下げる 「今後もお手伝いしたい」という意志を示すことで、クライアントは安心して次の案件を検討できます。
実際、私のクライアントにヒアリングしたところ、**「納品後のフォローがしっかりしているライターには、安心して継続依頼できる」**という声が多数ありました。
継続につながる納品メールの「3つの黄金法則」
12年間の経験で培った、継続率を劇的に向上させる3つの法則をご紹介します。
法則1:【感謝+具体的な振り返り】で仕事への熱意を伝える
NG例: 「お疲れ様です。記事を納品しました。確認お願いします。」
OK例:
このたびは貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
今回のテーマは「初心者向けのSEO解説」ということで、
専門用語を使わず、具体例を多用して執筆いたしました。
特に図解部分は、読者の理解度向上を意識して作成しています。
なぜ効果的なのか?
- 仕事に対する真剣な取り組みが伝わる
- 「ただ作業するだけではない」プロ意識を示せる
- 次回以降の期待値も高められる
振り返りに含めるべき要素:
- 工夫した点や苦労した点
- クライアントの要望への対応
- 記事の完成度を高めるための努力
- 想定読者への配慮
法則2:【改善意欲+学習姿勢】で未来への期待感を持たせる
NG例: 「修正があれば連絡ください。」
OK例:
ご不明点や修正点などありましたら、遠慮なくお申し付けください。
いただいたご意見は、今後のライティング品質向上に必ず活かします。
また、貴社の読者層やトーンについても、より深く理解したいと考えております。
なぜ効果的なのか?
- 向上心と謙虚さが伝わる
- 「一緒に成長していけるパートナー」という印象を与える
- クライアントも安心してフィードバックできる
改善意欲を示すフレーズ例:
- 「ご指摘いただいた点は、次回必ず改善いたします」
- 「より貴社のブランドに合った文章を書けるよう努めます」
- 「読者の反応なども教えていただけると、より良い記事が書けます」
法則3:【さりげない継続への言及】でチャンスを創出する
NG例: 「また仕事があったら声をかけてください。」(直接的すぎる)
OK例:
今後の連載企画や、類似したテーマの記事などで
お役に立てることがございましたら、ぜひお声がけください。
貴社のコンテンツ戦略に、微力ながら貢献できれば幸いです。
なぜ効果的なのか?
- プレッシャーを与えずに継続の可能性を示唆
- 「一緒にメディアを成長させたい」という協力的な姿勢が伝わる
- クライアントが継続を検討しやすくなる
さりげない表現のコツ:
- 押し付けがましくならない程度の控えめさ
- 相手のメリットを中心とした表現
- 具体的な提案ではなく、可能性の示唆
【完全版】継続率85%を実現する納品メールテンプレート
基本テンプレート
件名:【記事納品完了】○○様ご依頼分「△△△について」(ライター:○○)
○○様
いつもお世話になっております。
ライターの○○です。
このたびは、「△△△について」の記事をご依頼いただき、
誠にありがとうございました。
本日、記事を納品いたしましたので、ご確認のほど
よろしくお願いいたします。
【今回の執筆で工夫した点】
・○○様のご要望である「××」を実現するため、
△△△の手法を用いて執筆いたしました
・読者の理解度向上のため、具体例を○個追加しています
・SEO効果を高めるため、関連キーワードを自然に配置しました
【今回学ばせていただいた点】
・貴社の読者層について理解が深まりました
・○○分野の最新動向について知識を更新できました
ご不明な点や修正などがございましたら、
遠慮なくお申し付けください。
いただいたフィードバックは、今後のライティング品質向上に
必ず活かしてまいります。
また、今後とも貴社のコンテンツ制作に貢献できる機会が
ございましたら、ぜひお声がけいただけますと幸いです。
この度は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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○○○○(フルネーム)
Email: ××××@××××
Tel: ×××-××××-××××
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分野別カスタマイズ例
SEO記事の場合:
【今回の執筆で工夫した点】
・メインキーワード「○○○」を含め、検索意図に沿った構成で執筆
・関連キーワードを自然に配置し、検索エンジンからの評価向上を意識
・競合記事を分析し、より詳しく実用的な内容を心がけました
技術解説記事の場合:
【今回の執筆で工夫した点】
・専門的な内容を、初心者の方にも理解できるよう平易な言葉で説明
・実際の操作手順を段階的に記載し、実践しやすい構成にしました
・図解を多用し、視覚的にも理解しやすい記事を目指しました
【応用編】その他のタイミングで使える継続獲得術
1. 請求書送付時の一言
請求書を送るメールも、重要な営業チャンスです。
件名:【請求書送付】○○様ご依頼分(○月分・ライター○○)
○○様
お世話になっております。
○月分の請求書をお送りいたします。
ご確認のほどよろしくお願いいたします。
このたびはご依頼いただき、誠にありがとうございました。
お忙しい中でも丁寧にフィードバックをいただき、
大変勉強になりました。
引き続き、何かお手伝いできることがございましたら、
お気軽にご相談ください。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2. 記事公開後のフォローアップ
記事が公開された際のフォローも効果的です。
件名:【御礼】記事公開のご報告をいただき、ありがとうございました
○○様
お世話になっております。
記事公開のご連絡をいただき、ありがとうございました。
実際に公開された記事を拝見し、
レイアウトや画像の配置も含めて、
非常に読みやすく仕上がっていると感じました。
読者の反応や、アクセス状況なども後日教えていただけると、
今後のライティングの参考になり、大変助かります。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
3. 修正対応時のプラスα
修正依頼が来た際も、チャンスに変えられます。
○○様
修正のご指摘をいただき、ありがとうございます。
いただいたご意見はもっともで、大変勉強になりました。
修正版を添付いたします。
ご指摘いただいた点は今後気をつけてまいります。
このような丁寧なフィードバックをいただけることで、
ライターとして成長できます。
今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。
よくある質問
Q: メールが長すぎて迷惑になりませんか?
A: 適度な長さなら問題ありません。重要なのは「中身の濃さ」です。形式的な挨拶だけの短いメールより、仕事への熱意が伝わる内容の方が印象に残ります。ただし、相手のスタイルに合わせて調整することも大切です。
Q: 継続の話を出すのは図々しくないですか?
A: 直接的すぎる表現は避けるべきですが、「お役に立てることがあれば」程度なら全く問題ありません。むしろ、積極的な姿勢として評価されることが多いです。
Q: すべてのクライアントに同じメールを送っても大丈夫ですか?
A: 基本構造は同じでも、クライアントの特徴や案件内容に合わせてカスタマイズすることをおすすめします。個別性があることで、より印象に残りやすくなります。
継続案件獲得に役立つおすすめ書籍
『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』
フリーランスの収入安定化に特化した実践的な内容。特に「クライアントとの関係構築術」の章は、継続案件獲得に直結する内容が豊富です。私も参考にしている部分が多く、ライター以外のフリーランスにもおすすめです。

『「また会いたい」と思われる人の38のルール』
ビジネスコミュニケーションの基本を学べる一冊。メールの書き方から、相手に好印象を与える方法まで網羅されています。継続案件獲得に必要な「人間関係構築力」を高めるのに最適です。

Gmail効率化術
メール管理の効率化も重要な要素です。テンプレート機能やラベル機能を活用することで、質の高いフォローを継続的に行えるようになります。

【関連記事:「原稿料をアップさせる交渉術と実践ポイントまとめ【フリーライター向け】」という記事もおすすめです】
まとめ|案件は「終わらせ方」で未来が決まる
継続案件の獲得は、技術力だけでなく**「仕事への姿勢とコミュニケーション力」**で決まります。
今回お伝えした重要ポイント:
3つの黄金法則を実践する:
- 感謝+具体的な振り返りで熱意を伝える
- 改善意欲+学習姿勢で成長性をアピール
- さりげない継続への言及でチャンスを創出
あらゆるタイミングを活用する:
- 納品時のメール
- 請求書送付時
- 記事公開後のフォロー
- 修正対応時のプラスα
個別対応で差別化する:
- クライアントの特徴を理解
- 案件内容に合わせたカスタマイズ
- 相手のコミュニケーションスタイルに適応
今日からできる3つのアクション:
- 次の納品メールで、今回のテンプレートを使ってみる
- 過去のクライアント1社に、近況報告メールを送ってみる
- 自分なりのメールテンプレートを3パターン作成する
私が継続率30%から85%に向上できたのも、この「納品後のひと手間」を徹底したからです。最初は面倒に感じるかもしれませんが、1ヶ月も続ければ必ず効果を実感できるはずです。
単発案件に悩んでいるライターの皆さん、ぜひ明日の納品メールから実践してみてください。あなたの「また依頼したい」と思われるライターへの第一歩が、ここから始まります。
【関連記事:「ライター向け!ポートフォリオサイト構築ツール【目的別に紹介】」もあわせてご覧ください】
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