信頼し、まかせることで、のびのびと仕事をしてもらえば、メシもうまくなるし納品物のクオリティも高くなるというハナシ ~気持ちよく仕事をしてもらうことの大切さについて~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロ,信頼

たまに、客の態度に文句をつける店主がいる。いわゆる「頑固オヤジ」だ。最近ではあまり見なくなった。ただ、これ、店主側の立場から考えてみると、気持ちがよくわかる。根底にあるのは、「美味しく食べてほしい」ということ。決して、客が憎くて言っているのではない(と思う)。

残念ながら、客は、料理に関しては素人である。ただ習慣的に、あるいは生理的に食べているだけ。一方で店主はどうだろうか。「うまいラーメンとはなんだろう」ということを、24時間365日考えて、考えて、考えて、そのうえでつい言ってしまうのが、「黙って(味わって)食え!」という言葉だ。


  [ad#ad-1]

素人が口を出すことの不毛さ

もしあなたが、いつもラーメンのことばかり考えていたとしたら、どうだろう。「昨日より今日、今日より明日、うまいラーメンをつくろう」と、朝目覚めたときも、顔を洗っているときも、歯を磨いているときも、食事しているときも、風呂に入っているときも、寝ているときも考えていたとしたら。

そうやってつくったラーメンを、たいして味わうこともなく、まさに話のダシのように扱っていたら、「そんな食べ方してたら、オレのラーメンを堪能することはできない!」と思うはずだ。ましてや、つくり方について口をだすなんて、もってのほかであろう。むしろ滑稽ですらある。

自ら手を抜くプロフェッショナルはいない

そもそも、自ら手を抜くプロはいない。いたとしたら、それはプロではない。早晩、業界から消えていくのが落ちだ。だからつねに努力する。つねに、自分の仕事について考えている。そうやって良いものだけを提供し続けることで、はじめて、仕事がもらえるのだ。

それにも関わらず、プロを信頼できなかったらどうなるか。つまり、依頼者だから、お金を払っている側だからということで、口を挟んできたら。きっと、プロの実力は、半分もだせないだろう。なぜなら、ただ依頼者の言うとおりにつくる、ロボットへと成り下がるからだ。

相手を信頼できない人は、それなりの成果しかあげられない

良いものをつくらなければ、自分の存在を証明できないのがプロ。そのプロを信頼できない人は、うまいメシを食うことも、ハイクオリティな納品物を手に入れることもできない。結局のところ、過信慢心のうえに立つ、卑小な自分自身のモノサシでしか測れない、裸の王様であり続けるしかないのだ。

そして、多くのプロは、そういったプロを信頼できない人を叱ったり、諭したりはしてくれないものだ。黙って、ただ、言われたとおりにする。「あ~あ」と思いながら。それが必ずしも、良質な作品には結びつかないとわかっていても、そうせざるを得ないのだ。生き残るために。

目的にフォーカスするだけ。それだけ

素人にできることは、目的にフォーカスすることだけだ。「うまいラーメンを食いたい」「ハイクオリティの製品がほしい」。目的が明確になったら、それ以外のことは、すべてプロにまかせよう。そして、気持ちよく仕事をしてもらおう。それが、120%の実力を発揮してもらうための秘訣だ。

少なくとも、素人風情が口をはさんではいけない。医者を信頼せず、自分で治療をしようものなら、その結果は想像に難くない。たとえ血まみれになり、後悔したとしても、もう、私たちにできることはなにもないのだから。

ラーメン プロの技術 (柴田書店MOOK)
柴田書店 (2010-09-02)
売り上げランキング: 3,574
プロのためのラーメンの本 (柴田書店MOOK)
フード・ビジネス
売り上げランキング: 109,872
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です