『職業、ブックライター。』 には、ブックライターとして活躍されている上阪徹さんの「本を書く技術」、そのすべてが掲載されています。これからブックライターになりたいという方はもちろん、すでに本を書いている方も参考になることが多いです。今回はその中でも、いい本を書くための3つの要素をご紹介します。
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ブックライターとは
そもそもブックライターとは、著者に代わって書籍を執筆する人のこと。「ゴーストライター」とも呼ばれています。基本的には、インタビュー取材をとおして著者のコンテンツを引き出し、書籍にします。いわゆる「聞き書き」ですね。
忙しい著者に代わってプロが書くことにより、短期間で仕上げられるだけでなく、完成度も高まります。実際には、経営者やタレント、あるいはスポーツ選手が発表している多くの本は、優秀なブックライターによって書かれています。
“いい本”の定義
さて、『職業、ブックライター。』で定義されている“いい本”とは、次のとおりです。
・読者の役に立つ
・著者のメッセージがしっかり届く
・読みやすく、理解しやすく、ストンと腹落ちできる展開
つまり、ただ単に売れればいいというものではないのです。もちろん売れることは大切ですが、その点をあまりに重視してしまうと、本当に世の中のためになる書籍にはならないと上坂さんは指摘しています。「著者のメッセージを届ける」という視点は、ブックライターならではですね。
文章力(3割)<素材(7割)
そのうえで、ブックライティングにおいて重要なのは「素材」とのこと。重要だと思われる「文章力」に関しては3割ほど。残りの7割はいかに優れた素材を集められるかにかかっているのです。ここからも、取材の大切さがわかります。
通常の著作とは異なり、ブックライティングの場合には、著者が語っていないことを書くのは許されません。作文ではないのです。ブックライターの仕事は、著者が持っているコンテンツを引き出し、編集して文章化すること。だからこそ、「素材集め=取材」が大事なのですね。
(取材のポイントは次回の記事でご紹介します。)
相場観×読者イメージ×テーマ
素材以外に大切なのが「相場観」「読者イメージ」「テーマ」です。
相場観とは、市場の現状を認識し、今後を予測することです。とくにブックライティングにおいては、「どんな本が売れているか」や「どんな本がこれから求められるか」を分析することになります。足しげく本屋に通うことで、相場観は養われると上坂さんは言います。
読者イメージとは、ターゲットとなる読者を具体的に想像することです。「何を考え」「どんな課題を抱え」「どんな意識で何をしようとしているのか」などを、強くイメージします。読者層を中途半端に設定してしまうと、誰にも刺さらない書籍になってしまう可能性があるので注意が必要です。
テーマとは、どんな本にするのか、その主題を決めることです。「これはどんな本なのか」「何が言いたい本なのか」をハッキリさせておくと、読んだ人に強烈な印象を残すことが可能となります。集めた素材から、相場観を意識しつつ、より深くテーマを模索することが大切です。
ゴールにあるもの
素材、相場観、読者イメージ。そして、それらすべてを判断材料として設定したテーマ。ゴールにあるのは、他の本と「差別化できる要素」や「独自性」です。とくに、事実や経験など、その著者である必然性が重要となります。それが思いやメッセージとして文章になるのです。
加えて、今、世の中に求められているものは何か。そういった視点からブックライティングをすれば、きっといい本を書くことができることでしょう。ブックライターに求められているものは、必ずしも文章力ではなく、書籍執筆に対する真摯さなのかもしれませんね。
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