以前の記事では、『職業、ブックライター。』 より、ブックライターとして活躍されている上阪徹さんの「本を書く技術」をご紹介しました。ブックライターとして本を執筆する際に重要となる3+1のポイント。忘れてしまった方は、ぜひコチラの記事をお読みください。今回は、素材集めである「取材」についてご紹介します。
100人以上にインタビューをしてわかったこと
ボク自身、すでに100人以上の経営者や著名人の方を取材させていただいております。最初は『インタビューの教科書』 などを読んで勉強してからのぞんだのですが、やはり大事なのは「本番での経験」だと思います。ただ、ことブックライティングともなると、あらかじめ知っておかなければならないこともあります。
なぜなら、著者に代わって本を執筆するのがブックライターの仕事。であるならば、取材をとおして得たものが、そのまま本の良し悪しを分けると言っても過言ではありません。むしろ、取材で何を聞けたか、どのような素材を得られたかによって、すぐれた仕事ができるかどうかも決まるのです。
もし、あらかじめブックライター特有の取材方法を知っていなければ、「このブックライターが書く本は出来が悪い」という烙印を押されてしまうかもしれません。それは、雑誌やWEBで取材・インタビュー記事を書いている、熟練のライターにも言えることだと思います。
(取材後の執筆については次回の記事でご紹介します。)
ブックライティングにおける取材 “3つのポイント”
『職業、ブックライター。』に掲載されている取材のポイントは次の3つです。
1.取材の準備について
2.取材のやり方について
3.取材以前の人間力について
1.取材の準備
まず、取材の準備からです。通常のインタビュー取材でも準備は大切ですが、ブックライティングにおいてはとくに重要とされています。やるべきことは次のとおりです。
・企画書のチェック(構成案、目次案 など)
・著者に関する資料のチェック(雑誌やネットのインタビュー記事、公演で使用されたスライド、レポートや論文、過去に執筆された書籍 など)
これらをよく読み込んで、今回の本に使えそうなものや、この話はしっかり聞いておきたいということをピックアップします。そのうえで、取材のための目次「取材コンテ(取材の構成)」を作成します。取材コンテの詳しい内容は、『職業、ブックライター。』をお読みください。
2.取材のやり方
次に、取材のやり方における留意点です。基本的な取材のやり方については、『インタビューの教科書』 や『インタビュー術!』 に掲載されていますので、参考にしてみてください。とくに、ブックライターが留意したいこととしては、次のとおりです。
・取材をリードする
・編集者にもドンドン質問してもらう
取材をリードするとは、具体的にはタイムキーピングや、聞きたいことを聞くために質問事項をつくり込むなどです。あくまでも本を書くための取材だということからブレないように、著者の話の方向性をリードします。
また、編集者のツッコミは、本のプロならではの的確なものです。連携プレーでいい素材を引き出すことによって、その後の執筆作業もはかどりますし、とうぜんクオリティも高まります。
3.取材以前の人間力
3つ目は、取材以前の人間力について。ポイントは次のとおりです。
・目を見てしっかりとあいさつする(社会人の基本!)
・興味関心をもって聞く(面白そうに!)
・取材そのものを楽しむ(学びのチャンス!)
・読者が聞きたいと思われることを聞く(「読者なら聞きたいと思うんですよ!」)
これらは、著者さんから信頼を得るために行うものです。信頼できない相手に対し、胸襟を開いて話をしてくれる人はいません。まだ世の中に出ていないすぐれたコンテンツを引き出すためにも、信頼を勝ち取ることが重要なのですね。
おまけ(「キラークエスチョン」)
最後に、上坂さんが実際に使われているキラークエスチョンをご紹介しましょう。こちらです。
「もし、知識がほとんどない読者だったら、どんなふうに説明していただけますか?」
その意味や効果のほどについては、『職業、ブックライター。』をご覧ください。
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