なぜワンマン経営者はスタートアップを潰すのか?『GILT(ギルト) ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー』アレクシス・メイバンク アレクサンドラ・ウィルキス・ウィルソン

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GILT(ギルト) ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー

GILT(ギルト) ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー

 会社をつくるのが人間なら、つぶすのもまた人間である。

 これまでには「強力な経営者」あるいは「ワントップ」が成長企業を支えてきた。既存の会社をみてほしい。どこに「強力なツートップ運営」の会社があるだろうか。あったとしても少数である。

 その少数の会社の一つが、世界最大級の招待制ファミリーセールサイトを運営する「ギルト・グループ」である。もとは米国のスタートアップだ。現在では世界中に会員がおり、彼らは特別価格で高品質な買い物をすることができる。

 創業者は「二人の女性経営者」である。 


ギルト・グループの成功にみるチーム力

 ギルト・グループの成功は「人間関係」と「実行力」にある。短期間で会員数を増加させた秘訣は「バイラル・マーケティング」や「秀逸なサイトデザイン」などの戦略によるところも大きい。しかし、強力なチーム力なくしては成功はあり得ない。

 それは『GILT(ギルト) ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー』 に書かれている内容が、徹頭徹尾チーム力についてであることからもうかがえる。人間関係も実行力も良いチームワークから生まれたのだ。協力し、苦難を乗り越え、決断をしつつ、実行する。「アイデアはあるのだが……」と手をこまねいているだけの“チームを組まない人々”とは違う。

 そしてその違いが成否をわけるのだ。



スタートアップを成功させる「絆」

 スタートアップ成功のキーワードは「絆」である。実践方法は以下のとおりだ。

1.良いチームをつくる

 まずはチームをつくること。

 できれば共同経営者である前に「仲間」であることが望ましい。大事に思っている人と一緒に働くことは、それだけで事業に対する意義や意欲につながる。つまりは「絆」による力を生むのだ。

 東日本地震の被害は記憶に新しいが、どうにか乗り越えてこられたのも絆があったからこそである。津波の被害は甚大であった。それはもう回復不可能かに思えるほど。それでも人は希望を捨てない。そこに絆があるかぎり。

 町をなぎ払う津波に打ち克つことのできる絆。事業ができないわけがない。

2.自分が「善良、正直、誠実」であること

 何があっても自分が「善良、正直、誠実」でいなくてはならない。

 どんなに良いチームをつくろうとも、自分が信頼にたる人間でなくなれば、存亡は危ぶまれる。他人を完全にコントロールすることはできない。しかし自分なら可能だ。自分だけは信頼にたる人間でいつづけなければならないのだ。

 優れた投資家はスタートアップの事業を見ない。事業が成功するかどうかを完全に予測できるのは「預言者」だけだからだ。だから、事業を見ないで人をみる。もちろん「経営者」をだ。共同経営者である自分が信頼にたる人間でなかったら、投資家ははたしてどう思うだろうか。出資してくれるだろうか。

 私だったら土下座されても出資しない。あなたもそうだろう?

3.相互の信頼・尊敬・補完

 共同経営者は双方が「信頼・尊敬・補完」する関係でいなくてはならない。

 お互いに対する深い信頼があるからこそ、自分の仕事に集中することができる。相手の決断に反論することができる。実行するときに迷いが生じない。信頼はお互いを自由にし、お互いに勇気を与えるのだ。

 信頼があるからこそ、尊敬が生まれる。相互に尊敬しあえることが配慮につながる。そして、競争することなく、お互いに高め合うことができるのだ。まさに理想的な関係である。良いライバルとは相互に尊敬があるものだ。

 信頼し、相互に尊敬しあっているからこそ、背中をあずけることができる。たとえ後ろに目がなくとも、背中を合わせているパートナーに全幅の信頼を寄せることができる。相手の足りないところを補い、自分の足りないところを補ってもらう。

 そうしてはじめて、1+1が10にも100にもなっていく。



ヒトコトまとめ

 スタートアップを成功させるには

良いチームをつくり、相互にリスペクトし、自分が信頼にたる人間でいつづける、こと。



 お付き合いありがとうございました。多謝。

<目次>

キャリアと友情―スタートアップまでの道
アイデアを練り上げる―ギルト・グループが形になるまで
ビジネスパートナーを選ぶ―相性のよさをどこで見極めるか
タイミングを計る―ビジネスを始めるには旬の時期がある
ネットワークをつくる―立ち上げに向けて準備する
eコマースの売場を改装する―ビジュアルによるブランディングの試み
資金調達はアートだ!―スタートアップにふさわしいベンチャーキャピタルを見つける
バイラル・マーケティングで顧客獲得―コストをかけない画期的手法
草の根作戦―インサイダー・マーケティングと高級感の維持
優秀な人材を集める―私たちはどのように有能なチームをつくり上げたか
危機をバネにする―在庫不足の問題とリーマン・ショックを克服する
私たちらしいリーダーシップのスタイル―ギルト・グループの拡大後も自分流を貫く
超成長の反動をどう乗り切るか?疲労困憊、そしてギルト・ジャパンを立ち上げる
これからのギルト・グループこれからのファッションeコマース

<著者>

アレクシス・メイバンク、アレクサンドラ・ウィルキス・ウィルソン

ギルト・グループ創業者。二人ともハーバード大学卒業、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士号)取得。メイバンクはイーベイ・カナダとイーベイ・モーターズの立ち上げに参画。ウィルソンはメリルリンチ、ルイ・ヴィトン、ブルガリに勤務。その後、ケビン・ライアン、マイク・ブライゼックとフォン・グエンとともにギルト・グループを創業、現在に至る。二人とも既婚。夫と子供たちとともにニューヨーク、マンハッタン在住。

<類書>

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不格好経営―チームDeNAの挑戦
南場 智子
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 2,069

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