書くための集中力−やりたくないことに集中して取り組む方法−

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 文章を書くためには「集中力」が必要です。

 もちろん、文章の執筆だけでなく、あらゆる作業には一定の集中力が必要ですし、注意散漫な状態では何事も成せません。仕事も勉強も同じです。

 しかし現代社会は、さまざまな手法を用いて私たちの注意・注目を集めようとしています。穿った見方をすれば、集中力をいかに削ぐかということに注力している、と言ってもいいでしょう。

 では、どうすれば集中力を高めることができるのでしょうか。本稿では、情報社会において集中力を取り戻す方法について紹介します。

<参考文献>
・『集中力』山下富美代
・『ハーバード・ビジネス・レビュー集中力
・『フロー体験入門』M・チクセントミハイ
・『フォーカス』ダニエル・ゴールマン
・『一点集中術』デボラ・ザック
・『東大集中力』西岡壱成
・『東大ドクターが教える集中術』森田敏宏
・『疲れない脳をつくる生活習慣』石川善樹
・『精神科医が教える「集中力」のレッスン』西多昌規
・『朝イチのメールが残業を増やす』菅原洋平
・『脳が冴える15の習慣』築山節
・『自分を操る超集中力』メンタリストDaiGo
・『自分の時間を取り戻そう』ちきりん

■集中力とは

そもそも「集中力」とは何でしょうか。定義を確認すると、

・集中:ひとつのところに集めること。
・集中力:気持ちや注意をある物事に集中することのできる力。
(ともに精選版日本国語大辞典)

とくに、文章を書くための集中力について着目すると、

・書くための集中力:書くべきことを書くために、気持ちや注意を執筆にのみ向けるスキル

といえるかと思います。

■集中力の2つのタイプ

ただし、集中力の対象は必ずしも一様ではありません。分類方法はたくさんありますが、ここでは「集中できない」という事実を重視し、「やりたいことへの集中力」と「やりたくないことへの集中力」に分類してみましょう。

・「やりたいこと」への集中力

やりたいこと・自分が好きなことをするのに、ことさら「集中力が必要だ!」と感じるケースは少ないかと思います。なぜなら、好きであれば、それに没頭できるからです。

ただし、あらゆる集中の前提となる「内部環境・外部環境」の整備や、阻害要因の排除をしていなければ、いくら好きなことでも集中できません。

たとえば、読書が好きな人でも真横で道路工事をしていたら音が気になるはずですし、真夏の炎天下では暑さが集中を阻害します。また、三日三晩寝てない場合も同様です。

このように、「やりたいこと」「書きたい文章」の場合、ポイントとのなるのは「①集中を阻害する要因の排除」と「②内的・外敵環境の整備」の2つになると考えられます。

ちなみに、本稿では言及しませんが、「やりたいこと」への集中はフロー体験が参考になります。興味がある方は、『フロー体験入門』を手にとってみてください。

・「やりたくないこと」への集中力

さて、一方で問題なのは「やりたくないことへの集中力」です。

こちらも「①集中を阻害する要因の排除」と「②内的・外敵環境の整備」の2つが重要なのは同様ですが、いくらこれらを整えても集中できるとは限りません。

なぜなら、気持ち(心・精神)が「やりたくない!」と拒否しているため。この状態は、裏を返すと「ホントは別の◯◯や△△がしたいんだ!」と解釈することもできます。

もちろん、この場合の◯◯や△△には「ゲームがしたい!」「友達と遊びに行きたい!」といった能動的なものだけでなく、「もっと寝たい!」「ダラダラしたい!」などの行動も含みます。

さらに現代であれば「スマホをいじりたい!」「SNSをチェックしたい!」などの意識的・無意識的な欲求も含まれるため、状況はより複雑でやっかいです。

■やりたくないことに集中するにはどうすればいいのか?

では、やりたくないこと(書きたくないこと)に集中するにはどうすればいいのでしょうか。集中力全般に必要な2つの要素と、決定的に重要な1つの要素について解説します。

集中するために必要な要素は、次の3つです。

①集中を阻害する要因の排除

集中の阻害要因となるものはたくさんあるのですが、端的に述べると、「気が散るものをすべて、徹底的に排除する」ことに尽きます。

たとえば机にパソコンを置いて文章を書くなら、パソコン、キーボード、マウス、必要に応じて照明以外のものはすべて片付けます。そのうえで、視界に入れないようにする。

あるいは、「五感の刺激」に関連するもの、「騒音(聴覚)」「光(視覚)」「触覚(気温)」「匂い(嗅覚)」「空腹(味覚)」などを除去することも必須でしょう。

②内部・外部環境の整備

阻害要因の排除は、「外部環境の整備」に通底します。つまり、五感の刺激を引き起こさないものを積極的に選び、集中状態を維持しやすくするのです。

このあたりは「人間工学」が詳しいので、興味がある方は掘り下げてみてください。椅子や机の高さ、モニターの距離、姿勢、休憩のタイミングなど、ジャンルは幅広いです。

加えて、「内部環境の整備」については、主に体調です。睡眠不足や疲労困憊の状態では、集中しようにもできません。同時に、空腹や水分不足、栄養、運動習慣等にも配慮します。

③意識変革

3つ目は、こちらが最も重要なのですが、「やりたくないことへ意識変革」です。ただ、意識変革と言っても、「やりたくないことを、やりたいことに変える」わけではありません。

多くの書籍では、「やりたくないことを、やりたいことに変える」方法に言及しています。ただ、よくよく考えてみると、それは決して簡単なことではありません。

なぜなら、やりたくない理由は人それぞれ違うからです。めんどうなのか、作業が嫌いなのか、他にやりたいことがあるのか、課題を出した先生が嫌いなのか、わかりません。

それにもかかわらず、「やりたくないことを、やりたいことに変える」のは、少々、乱暴ではないでしょうか。不真面目な私は、つい「嫌いだっていいじゃないか」と思ってしまう。

そこで視点を変えてみましょう。ここでする意識変革は「集中しないでいい」と考えること。つまり、やりたくないなら、そんなものに集中しなくていい、という発想です。

■結論:「やりたくないことへの集中」=「能率向上」

「いやいや、嫌いだけどやらなくちゃいけないんじゃないの?」と思った人は、真面目でいい人です。そうです、やらなけば(書かなければ)なりません。人生とはそんなもの。

ただし、ここで私が「集中しないでいい」と言ったのは、「無理に長時間集中しようとしなくていい」という意味です。嫌いなことを、長時間集中すること自体、苦痛ですから。

では、どうすればいいのか。ここで結論です。「やりたくないことへの集中」は、「能率を上げることに特化する」にほかなりません。あらためて定義すると、とっても単純です。

能率とは、一定の時間にできあがる仕事の割合のこと(精選版日本国語大辞典)。嫌いなことに対する能率をあげれば、短時間で仕事を片付けることができます。

考え方としては、「嫌いなことに集中する」ではなく、「嫌いなことを早く終わらせる」という発想、つまり“時短”が、やりたくないことの集中における本質なのです。

ライフネット生命の創業者で、現在は立命館アジア太平洋大学の学長をしている出口治明氏は、入社したての頃、仕事を早く終わらせて辞書を読んでいたそうです。

その根底には、「仕事を早く終わらせれば好きなこと(読書)ができる!」という思いがあります。これこそ、出口氏にとってのモチベーションであり、つまらない仕事をいち早く終らせる動機になっていたと考えられます。

■「時短」は内発的動機を生む

ごほうびとしての「内発的・外発的動機」については、集中力に関連するさまざまな書籍でも重要視されています。ただより重要なのは、物的ごほうびではなく、内的な動機です。

仕事もそうですが、最初のうちは「お金のため」に頑張っていたのが、やがてモチベーションも低下し、何のためにやっているのか分からなくなるのはよくあるケースです。

やはり人間、物質的なごほうびではなく、内的で能動的、主体的な欲求に動かされる方が、モチベーション、ひいては集中力も高まるようです。

そこで、目の前の業務(執筆)を、いかに短時間で終わらせられるかを考えてみる。その結果、生まれるのは「好きなことをする時間」です。何よりも大事な、時間が捻出されます。

固定報酬の人は、ここで「短時間で業務を終わらせれば、時間給が上がる」と気づくでしょう。そしてそれこそ、生産性をあげることにほかなりません。

■「ごほうび」の種類は人によって異なる

西岡壱成氏の著書『東大集中力』では、集中のタイプを「右脳or左脳」「慎重派or行動派」「努力型or効率型」という3つの視点で分類しています。

分類の結果については本書にあたってほしいのですが、大事なのは、人によって集中の好み、もっといえばごほうびの好みは異なるということです。

私自身は、「自由な時間で好きなことをする」というごほうびが最高だと考え、時短という結論に至ったのですが、人によっては違う発想のほうがピンとくるかもしれません。

ただ、私のように論理的で行動派の人は、自由時間という何にもまして尊いごほうびが響くかもしれません。そしてそのためには能率向上つまり時短が必要なのです。

■時短のためにできること

最後に、時短のためにできることについても言及しておきましょう。

こと執筆の場合は、前提として「①書くべき事柄(内容)」と「②いつまでに書くべきか(納期)」を明確にすることからはじまります。

これらはつまり、目標と期日です。何をすればいいのか、いつまでにすればいいのかを明らかにし、そこから逆算して時短するための方策を考えていきます。

最も効果的なのは、「時間を測る」こと。やるべきことの全体像を把握し、できるだけ分解しつつ、どのくらいの時間が必要なのか見積もってみましょう。

そのうえで、一つひとつの作業をストップウォッチで測り、より短い時間でこなしていく。要するに「タスク化→予測→計測→改善」の繰り返しです。

実は、こうしたサイクルを上手にまわし、改善できる人であれば、執筆に限らずあらゆる作業の能率を向上できます。そしてそれが、自分の時間を増やすことになるのです。

■まとめ−集中するな。時短しろ−

結論:やりたくないことをに集中したいのなら、無理に集中しようとしない。

そうではなく、あらゆる方法を駆使して時短を目指しましょう。時短を実現した結果、好きなことをやりましょう。もし好きなことがないなら、好きなことを見つけてください。

好きなことは、「休みたい」でも「たくさん寝たい」でも、何でもいいです。ただ、自分がそれについて考えると気分が高揚し、いつまででもできるものがいいでしょう。

「嫌いなことへの集中」は、集中することが目的なのではなく、あくまでも手段です。そして、時短を目指して創意工夫すれば、集中は自ずとやってきます。


<参考文献>
・『集中力』山下富美代
・『ハーバード・ビジネス・レビュー集中力
・『フロー体験入門』M・チクセントミハイ
・『フォーカス』ダニエル・ゴールマン
・『一点集中術』デボラ・ザック
・『東大集中力』西岡壱成
・『東大ドクターが教える集中術』森田敏宏
・『疲れない脳をつくる生活習慣』石川善樹
・『精神科医が教える「集中力」のレッスン』西多昌規
・『朝イチのメールが残業を増やす』菅原洋平
・『脳が冴える15の習慣』築山節
・『自分を操る超集中力』メンタリストDaiGo
・『自分の時間を取り戻そう』ちきりん

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