非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門 (ディスカヴァー携書)
どうすれば論理的な文章が書けるのだろうか?
そもそも論理的とは、「きちんと筋道を立てて考えられている」ということだ(『goo辞書』)。筋道とは、その文章が「何を問題視しているのか」「何を主張したいのか」「主張の理由と根拠は何か」である。
つまり論理的な文章とは、「『問題』『結論』『理由』が正しい順序で並んでいる文章」にほかならない。
『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』 によれば、具体的には以下の7項目を意識することで、論理的な文章が書けることになる。
論理的な文章の書き方~論理的な文章を書くために必要な7つの項目~
それではさっそく論理的な文章の書き方を解説していこう。論理的な文章の構成は次のようになる。
- 問題の背景
- 問題
- 結論
- 理由
- 理由を支える根拠
- 想定される反論と再反論
- 結論の確認
1.問題の背景
どんな問題について述べるのかを書く前に、その問題を考えたきっかけ、つまり「背景」を書く。そうすることで、これから提示する問題について読者に考えねばならないことを想起させるのだ。論理的な文章の書き方に必要な「結論」「根拠」「前提」の前提部分にあたる。
朝食を食べる子どもは小学生で◯%、中学生まで◯%。これは◯年前と比べて◯人減少している(◯◯調べ)。
2.問題
背景を説明した後、問題を提起する。問題は読み手が思わず考えてしまう具体的なものにし、次のような問題提起はさける。
- 漠然としている
- 主観的である
- 仮定をともなう
- 明らかな事実で、議論の余地がない
◯◯小学校で行われている「朝食の提供」は対策として適当か?
3.結論
結論は問題のすぐ後に述べる。論理的な文章の書き方に必要な「結論」「根拠」「前提」の結論部分にあたる。次のような結論はさける。
- 結論が弱い
- 問題と結論がかみ合わない
欠食した子どもだけに有料で与えるなら妥当だ。
4.理由
問題のあとにそう考える理由を述べる。すぐに反論されないように説得力のあるものにし、次のような理由はさける。
- 理由が結論に論理的に結びつかない
- 理由の範囲が不明確
- 感想または推測にとどまる
- 整理せずに列挙している
なぜなら、朝食が子どもの学習支援につながるから。
5.理由を支える根拠
結論とその理由に説得力をもたせるために、理由を支える根拠を示す。論理的な文章の書き方に必要な「結論」「根拠」「前提」の根拠部分にあたる。権威のある情報元が望ましい。ソースの提示は正しく行う。
『◯年の◯◯』によれば、朝食をとる子どもはとらない子どもに比べて◯倍も成績が良い。(◯年『◯◯』より http://www.**********.com)
6.想定される反論と再反論
理由とその根拠だけではまだ説得力が足りない。想定される「主な」反論とそれに対する再反論を記載する。
「家庭で朝食を用意しなくなるのでは?」、と思われる方もいるだろう。しかし、朝食をとらない主な理由は「時間がない」こと。つまり親の怠慢なのではなく、子どもの生活習慣に問題があるのだ。
7.結論の確認
結論を再確認するのと、主な反論以外の反論についても述べておく。
朝食の大切さを指導するのも学校が行うべき「教育」のひとつ。大切なのは「誰が朝食を提供するのか」ではなく、「子どもの生活習慣を改善させるために学校ができることは何か」ということだ。
ヒトコトまとめ
論理的な文章の書き方は、次の3つの要素を意識すること。
問題、結論、理由。
お付き合いありがとうございました。多謝。
<目次>
第1章 伝えたい考えは「クイズ文」で書く
LESSON 1 言いたいことは伝わっているか
LESSON 2 クイズ文とはどういうものか
LESSON 3 クイズ文の反対は「日記文」
第2章 クイズ文の型を理解しよう
LESSON 1 クイズ文の四つの型
LESSON 2 ディベートはクイズ文を書くのに役立つ
LESSON 3 ディベートを疑似体験しよう
LESSON 4 ディベートからクイズ文をつくってみる
第3章 実践! クイズ文を書いてみよう
LESSON 1 「問題・結論・理由」を用意する
LESSON 2 「問題」の述べ方、ここに注意
LESSON 3 「結論」の述べ方、ここに注意
LESSON 4 「理由」の述べ方、ここに注意
LESSON 5 文章完成に向けてすべきこと
<著者>
飯間浩明
1967年、香川県高松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。同大学院博士課程単位取得。現在、早稲田大学などで非常勤講師。『三省堂国語辞典』編集委員。専門は日本語学。古代から現代に至る日本語の語彙について研究を行う一方、辞書編集委員として、まだ辞書に採録されていない現代語を収集・記述することに精力を注いでいる。大学の授業では、クイズ、ディベートなどを取り入れた独自の文章指導を約10年続けている。