あなたは、聴衆を魅了してやまない『TEDトーク』をご存知だろうか?
世界中の成功者たちが、その人生で得たテクニックやノウハウを、プレゼンテーション形式で惜しげも無く披露してくれる番組だ。しかも無料で。
もし、初耳だという方がいたら、ぜひ一度視聴してみてもらいたい。決して、損することは無いだろう。
そして、そのTEDトーク、とくにプレゼンの仕方についてまとめた本がこの『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』だ。
あなたは、自分にはそんなプレゼンをする能力も無いし、経験も無いとお思いだろうか?そんなことはない。ぜひこの本を読んで、TEDのプレゼンターに負けないようなスピーチを、職場や友人たちの前で行ってほしい。あなたには、その素質が十分あるのだから。
そして、秘訣はこの本の中にある。
目次
TED式プレゼン術とは?
TEDには守るべき「10戒」が存在する。以下がその内容だ。
- オハコの披露にとどまるなかれ
- 大きな夢を語れ。または驚くべき新事実を示さなければならない、または今まで決して共有されなかった情報を示さなければならない
- 好奇心と情熱を示さなければならない
- ストーリーを語らなければならない
- 他の賛成や反対意見に対して自由にコメントしなければならない
- エゴをひけらかしてはならない、あなたは脆い人間である。成功と同じように失敗も話さなければならない
- ステージからお金を儲けてはならない。会社も、商品も、書き物も、募金もだめである
- 「笑いは宝」と心得よ
- 決して原稿を読み上げてはならない
- 聴衆の時間、次の話し手の時間を無駄にしてはならない
これらを守ることで、必ずしも素晴らしいプレゼンテーションが行えるわけではない。だが、何ごとにも基本が存在するように、これがTEDカンファレンスにおける基本なのだ。誰もが、これらのルールに則って勝負している。
たしかに、この10戒を完璧に守っていても、それほど素晴らしくないプレゼンもある。反対に、正確に守っていなくとも、聴衆の心を惹きつけ虜にしてしまうプレゼンが存在しているのも事実だ。では、成功するプレゼントと失敗するプレゼンの違いはどこにあるのだろうか?
そのヒントは、以下に掲げる「TED式トークの5つの構成」に隠されている。
順番にみていこう。
1.トピックを選ぶ
まず最初に、プレゼンで一番大切な「トピック」を決めなければならない。
トピックは、プレゼンテーションの核であり、一番伝えたいメッセージであり、あなたが聴き手に提供するアイデアだ。どれだけスムーズに、どれだけ流暢に、どれだけ美しくプレゼンテーションを行っても、このトピックが弱ければ、聴衆の心を惹き付けることはできない。
そしてトピックは、あなたの経験や想いと、人々の欲求を結びつけたものでなくてはならない。欲求とは大きく次の4つに分類される
- 帰属の欲求
- 利己の欲求
- 自己実現の欲求
- 未来への希望の欲求
また、人間の欲求に関しては、こちらの記事もあわせて参考にすると良いだろう。
「マズローの五段階欲求」を使って幸せになるためのポイント6つ」
結局のところ、どれだけ熱意のこもったメッセージでも、聴衆にとって価値がないものでは心に響かない。だからこそ、欲求に訴えかける必要があるのだ。
そう、プレゼンテーションとはまさに、聴き手にインスピレーションを与え、世界の見方を変えてしまうもの。あるいは、何か行動を起こそうという気にさせるものなのだ。
そのために必要なのは、あなたの経験から生まれたメッセージやアイデア、そして聴衆を主体としたトークである。
2.キャッチフレーズを作る
トピックが決まったら、次は「キャッチフレーズ」を作ろう。
キャッチフレーズは、プレゼンの最中に、聴衆に対して繰り返し発せられるキャッチャーな言葉である。最低でも、3回は繰り返すことで、聴衆の脳裏に焼き付けるのだ。
このキャッチフレーズは、できるかぎり短く、リズミカルなものが良い。ただし、その短い言葉の中に、核となるメッセージがこめらていること、そしてそれが聴衆に伝わるものでなければならない。
代表的なものには、オバマ大統領の「Yes,We Can」やキング牧師の「I Have a Dream」などがある。日本語でも、たくさんの名キャッチコピーがあるので、一例を挙げておこう。
- 『きれいなおねえさんは、好きですか?』−パナソニック
- 『100人乗っても大丈夫』−イナバ物置
- 『そうだ 京都、行こう。』−JR東海
- 『いつか遊びがモノを言う』−NIKE
- 『ココロも満タンに』−コスモ石油
作り方のコツはいくつかあるが、対照を活用するというのが手っ取り早い方法だ。
「これは私の勝利ではない。あなたの勝利だ」(バラク・オバマ)
「ここに高くそびえる壁と、壁にぶつかると壊れてしまう卵があるとすると、私はいつでも卵の側に立つ。」(村上春樹)
その他、キャッチコピーの作成法はこちらの書籍が詳しい。
3.オープニング
トピックと キャッチコピーができたら、いよいよプレゼンを開始しよう。まずは「オープニング」からだ。
オープニングで行うべきことは次の2つだ。
- オープニングトーク
- プレゼンの内容説明
オープニングトークは、いわゆる「つかみ」と呼ばれるもので、聴衆の心をグッと引き寄せるものでなくてはならない。ここで失敗してしまうと、聴衆の心を取り戻すのは困難だ。
失敗しないオープニングトークは、次の3つである。
- パーソナルストーリー
- 衝撃的な事実の提示
- インパクトのある質問
パーソナルストーリーとは、つまり自分の体験のこと。衝撃的な事実の提示とは、統計データを利用したトリックや、社会通念への意義など。また、インパクトのある質問とは「なぜ~」「どうすれば~」などの問いかけによって、聴衆の不安をあおるテクニックだ。
詳しい内容は本書を読んで確認してほしい。
また、プレゼンの内容説明とは、「これからどんな話をし、それによって聴衆が何を得られるのか、またどのくらい時間がかかるのか」等の、簡単なものだ。
スティーブ・ジョブズ伝説のスピーチにも使われている「3つの◯◯」というのは、使い勝手が良い内容説明である。
4.スピーチのフレームワーク
オープニングで聴衆の心をしっかりと掴んだら、いよいよ「本論」に入っていこう。
そのために、スピーチのフレームワークについて確認しておく。基本的なスピーチの構造は
- オープニング→本論→まとめ
であるが、さらに詳しく分類すると、次の3つとなる。
- 現状-問題提起-解決策
- 時系列
- アイデア・コンセプト提起型
オープニングにどういった話を行うかで、もっとも適切な本論を選択しよう。
ただし、ここでも忘れてならないのは、「トークの主体は聴衆にある」ということだ。
話の途中で聴衆に質問をぶつけたり、個人個人がイメージしやすいような統計値を活用する必要がある。間違っても「世界中の◯万人が」などとやってはいけない。「◯人に◯人が」として、イメージを喚起させよう。
また、冒頭でも話したが、プレゼンの目的は「聴き手の考え方を変える」か「聴き手に行動を起こさせる」ことだ。そのために、論理的な事実の明示と、感情に訴えかけるストーリー展開を心がけよう。
大切なポイントを繰り返しつつ、これまでに話したストーリーや事実を振り返ることも大切だ。
5.スピーチの締め方
最後に、スピーチをキッチリ締めよう。最後が締まらないプレゼンほど、情けないものはない。
ただし、難しいことはない。それまでのトークで聴衆を十二分に魅了することができていたのなら、あとは仕上げるだけだ。
具体的には、聴衆が行動を起こせるように簡単なステップを示し、さらに切迫感を加えるだけだ。同時に、なぜそのことを伝えたいと思ったのか、根底にある想いも語れるとより印象的だろう。
「あなたが◯◯さえすれば、もう◯◯な思いをする必要はない。私が成功したように。」
また、スピーチの後半では、緩急をつけるために「スピーチが終わりに向かっていることを示す」のも重要だ。そのためには「最後に」「もっとも言いたいことは」「重要なのは」「結論として」などの言葉を活用すると良いだろう。
「以上となるが」としておいて、聴衆の不安をあおったまま終わるという高等テクニックもある。ぜひ活用してみてほしい。
まとめ
最後に、忘れてならないのが「ユーモアを盛り込む」ことだ。
TEDの10戒にもあるように「笑いは宝」である。出来る限り、盛り込む努力をしよう。
その際のポイントは、話の流れを「意外な展開」にすることだ。また、会話の多いストーリーに入れると上手くいきやすい。
困ったときには、以下の3つのうちいずれかを活用しよう。
- 自虐ネタ
- 事実を大袈裟に語る
- 権威を少しばかりこきおろす
以下のように、活用できるツールもある。
【30日間無料!】キングソフトオフィスはオフィス互換ソフト販売本数No.1
オススメ書籍
講談社
売り上げランキング: 2,850
丸善出版
売り上げランキング: 17,108
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 2,500
英治出版
売り上げランキング: 3,542
日経BP社
売り上げランキング: 2,292