使える時間はかぎられている。体力にも限界がある。資金もそれほど使えない。それがフリーランスの現状です。個人だからこそ、できることには限界があるのがフツウです。
では、どうすれば、そのように限られた資源のなかで勝ち抜くことができるのか。端的に、大きく収入をアップさせるにはどうすればいいのか。答えは単純です。「先鋭化する」こと。
ある特定のジャンルで唯一の存在になれば、価格交渉は必要ありません。営業することなく、名指しで選ばれるようになります。その状態こそ、フリーランスにとっての理想です。
先鋭化するとはなにか
そもそも「先鋭化する」とは、具体的にどういうことなのでしょうか。先鋭とは先がとがっていること。つまり、ある分野や製品、サービスにおいて特化するということです。
先鋭化の度合いがするどければするどいほど、他の追随を許しません。他者が到底マネできない領域まで到達してしまえば、敵はいないのです。ブルーオーシャンの完成です。
ライバルとの競争、価格競争、時間のとられる営業活動。そういった、本来的な業務以外に時間と労力を投下していれば、いずれはジリ貧です。だからこそ、先鋭化が必要なのです。
どこを絞り込むか
問題は、「どこを絞り込むか」ということです。先鋭化するにあたってやるべきことは、選択し、決意し、捨てること。それだけです。絞り込む要素としては、次の項目が挙げられます。
1.製品
取り扱う製品を絞れば、よりきめ細やかなサービスを提供することができます。特定の製品に対するあらゆるニーズに答えられるようになれば、選ばれる存在になれます。
2.サービス
製品ではなくサービスを絞り込むという方法もあります。たとえば、翌日に納品したり、配送を無料にするなどです。類まれなアフターサービスを提供すれば、顧客満足は高まります。
3.顧客
つい尻込みしてしまいますが、とくに効果的なのが顧客の絞り込みです。特定の顧客のみをあいてにし、他は断ってしまう。その結果、特定の顧客からの厚い信頼を得られます。
4.ジャンル(市場)
取り扱う製品のジャンルや、参入する市場を絞り込むという方法もあります。特定のジャンルや市場に特化することで、知識やスキルが深まり、名指しで選ばれる存在になります。
5.価格
価格競争をしないと決意するのであれば、価格そのものを絞り込んでしまうという方法もあります。上限はともかくとして、下限を決めてしまえば、業務内容も先鋭化されます。
6.チャネル
顧客の動向や社会的な潮流を考慮して、流通チャネルを絞り込むのもひとつの手です。ビジネスによっては、対面よりもネットに特化したほうが効果的、ということもあるのです。
ポーターの「ポジション戦略」からヒントを得る
このように、特化する分野はたくさんあります。基本的には、いずかひとつではなく、特化する分野の組み合わせによって、独自性を見出すことになります。
ただし、どの分野に特化すればいいのかという判断は、かなりむずかしいものです。経営学者であるマイケル・E・ポーターの言葉がヒントになるかもしれません。
成長可能性は高いが、独自性に欠ける分野に専念するよりも、優位な分野において、さまざまなニーズを奥底まで掘り下げ、さまざまな種類の製品やサービスを提供したほうが、成長スピードも早く、収益性も高いことが多い。
まとめ
ニーズ(需要)だけを追い求めるのであれば、どの分野に特化するべきなのかは、市場分析によって明らかになるでしょう。ただし、フリーランスの判断軸は、それだけではありません。
なぜなら、企業のように、人材によって得意・不得意を補えるわけではないからです。すべて、自分でやらなければなりません。不得意なことを克服している時間はないのです。
得意なこと、あるいは好きなことを、とことんまで追求する。努力を努力と感じないジャンルで勝負する。そのうえで、社会的ニーズとの整合性を考慮するほうが、近道かもしれません。