物が売れない。その理由はどこにあるのでしょうか? 商品の性能、価格、魅力、あるいはプロモーション。いずれも原因のひとつではありますが本質的な理由ではありません。
もっとも大事なのは「その商品を必要としている顧客がいない」ということです。
「そんなバカな! こっちは明確なマーケティングリサーチを行って十分に需要があることを把握しているんだ!」 なるほど確かにそうでしょう。ただ、需要があることと顧客がいることとは同義ではありません。
<セールスレターの役割>
あなたが重度の花粉症だったとします。仕事がある日は眠気を誘う花粉症の薬を飲めませんので、ティッシュで何度も鼻をかまなくてはなりません。従来の固いティッシュを使えば、ものの数回で鼻が真っ赤になってしまいます。
いつものように鼻を真っ赤にして帰路についたあなたは、帰りの電車でぼんやりとつり革広告を眺めていました。すると、次のような見出しの広告が飛び込んできたのです。
「『花粉症の方にオススメ! 何度かんでも鼻が赤くならない超ふんわりティッシュ』1箱198円」
もしあなたがこの広告を見ていなければ、こんなに素晴らしい商品を知ることはなかったでしょう。しかしあなたの潜在意識の中には、「鼻が赤くならないティッシュ」の需要は確実にあったはずです。
そうです。性能も価格も魅力も、それを欲している人に伝わらなければ意味がないのです。需要=顧客ではない、という意味はつまりそういうことです。
つまり、セールスレターは隠れたニーズを掘り起こし顧客を創造するためにあります。
<世界で一番成功したセールスレター>
具体例として、次のセールスレターをご覧ください。これはウォール・ストリート・ジャーナルが使用した“世界でもっとも成功したセールスレター”です。売上規模は1,000億円とも言われています。
ただ、このセールスレターはあくまでもDM(ダイレクトメール)の形式のものです。インターネットでの売買が一般化している現代においては、やや時代遅れな感もいなめません。現代ではセールスレターの技術は使えないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。こちらのページをご覧ください。
これらは各種webサイトの1ページですが、その目的がセールス(販売、成約、サービスの利用、資料請求、お問い合わせetc)にあるという共通点があります。購買ユーザーが着地する(ランディング/Landing)ためのページという意味で「ランディングページ(LP)」と呼ばれています。
お気づきの方もいるかと思いますが、ランディングページはセールスレターをインターネットの画面に適応させた、いわゆる応用版です。インターネットで物を売る時代に、ランディングページはなくてはならない存在なのです。
(ランディングページの詳しい解説はコチラ)
<セールスレターの利点>
セールスレターの利点は大きく次の3つです。
1.提案型の営業
ティッシュの事例では商品が安かったからまだ良かったのですが、もし住宅の販売だったらどうでしょうか。
「『花粉症の方に朗報! 花粉を60%カットしてくれるマンション』4,980万円」
きっと「そんなのがあるんだ」程度で終りでしょう。商品が高額になればなるほど時間をかけてじっくりと納得してもらわなければ購入にはいたらないのです。
そこで必要となるのが「提案型の営業」です。きっかけは何でも結構です。花粉でも、駅チカでも、学校でも、職場でも、オリンピック会場の近くでも、耐震補強でもいいのです。
大切なのは「なぜあなたはこの住宅を購入するべきなのか」を提案を交えて説明・説得してくれる相手がいること。そう、まるで敏腕営業マンのセールストークのように。
2.「24時間365日」働き続ける営業マン
現代そして未来は、インターネット売買が主流の時代です。すでにAmazonでは自動車本体も購入できるようになりました。新鮮な野菜の直販を行っている企業もあります。日用品を届けてくれるサービスもあります。
セールスレターの技術を活用して制作したランディングページは、インターネットで物を販売するのに、とくに高額な物を販売するのに不可欠な存在です。たとえ高額でなくても、健康食品や電化製品など「必要性を説明されなければ購入にいたらない」ものには有効でしょう。
たとえば『にんにく卵黄』や『青汁』で有名な「やずや」や、『ブルーベリーアイ』の「わかさ生活」は、優れたランディングページで売上を伸ばしてきました。ランディングページは、ニーズから顧客を創造する「24時間365日」働き続ける営業マンと同じなのです。
3.効果測定ができる
3つ目のポイントは「効果測定ができる」ということです。
もし広告代理店にすべてのプロモーション任せていると、その効果がはっきりしません。仮にあなたが小規模の飲料メーカー社長だとします。このほど、広告代理店が言うとおりに地方のテレビ局でCMを行った後に売上が30%ほどアップしました。しかし、それは本当にテレビCMの効果だと言えるのでしょうか? たまたま天候が良かったからかもしれませんし、気温が上がったからかもしれません。
そして、たとえテレビCMの効果があったと判断しても、そのCMの「何が良かったのか?」「悪い点はなかったのか?」「改善すべきところは無いのか?」などは分かりません。結局その後は、成功体験にしがみついて広告予算を垂れ流すのが関の山でしょう。
しかしランディングページの場合は、明確な効果測定ができます。アクセス解析によってそのページを訪れたユーザー数、ユーザーの行動(クリックやページの移動)、時間帯、地域、購買率など、ユーザーの行動がはっきりと指標として残るのです。これが顧客データとなり、改善のサイクルを効果的にまわすための指針となります。
<これからのセールスレター>
電車通勤をしている方は、次に電車に乗った時、ぜひ周囲の方を観察してみてください。ほとんどの人がスマートフォンをいじっていませんか? もはや人の興味は手のひらに集約されつつあるのです。
このことから、今後はスマートフォンサイトのランディングページ最適化(LPO)がより重要視されると予想できます。今のところアプリ広告が集客の要となっていますが、サイトに移動した後、購買行動をするかどうかはランディングページにかかっていることにかわりはありません。
セールスレターの技術は、これからさらに必要とされることでしょう。
まとめ
- セールスレターはニーズから顧客を創造する
- 現代ではとくにランディングページにその技術が活かされている
- セールスレター/ランディングページは24時間365日働き続ける営業マン
- 今後はスマートフォンのランディングページが重視される
<参考>
東洋経済新報社
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