近い将来、私たちの仕事の大半は、AIが代替するようになります。
そのような社会が到来することを予測しつつ、私たちは、どのような準備を進めていけばいいのでしょうか。ポイントは、「クリエイティブ思考」にあります。
クリエイティブ思考とは、つまり創造性のこと。創造性を有し、それに磨きをかけている人は、AIに仕事を奪われることなく仕事を続けていけると言われています。
たしかに、小説や絵画などのシーンにおいて、創作を行うAIの事例も出てきています。しかし、創造性を発展させ、それを社会に役立てることは、人間の仕事であり続けるでしょう。
では、どのようにしてクリエイティブ思考を身につければいいのでしょうか。本書『FUTURE INTELLIGENCE』より、必要な習慣について学んでいきましょう。
クリエイティブ思考とは
本書では、クリエイティブ思考について、「フロー体験」でも有名な心理学者のチクセントミハイ氏による、次の言葉を引用しています。
クリエイティブ思考の人の独自性を一言で言えば、それは『複雑性』だ。
また、「クリエイティブ思考とは単なる専門技術や知識ではなく、知性、感情、動機、倫理的特徴が一体化したもの」とも表現されています。
さらに、クリエイティブ思考と強く結びつくパーソナリティの三要素も挙げられています。次のとおりです。
・可塑性:新たなアイデア、目的、シナリオを探求しようとする傾向
・多様性:習慣にとらわれず独自の考え方をすること
・集中力:アイデアを実現するために賢明な努力を続ける能力
これらの記載からも明らかなように、クリエイティブ思考とは、創造的な活動に必要な思考法であり、習慣であり、さらには生き方そのものと表現することができそうです。
「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣
では、どうすればクリエイティブ思考を身につけることができるのでしょうか。本書では、クリエイティブ思考が身につく習慣として、次の10項目を挙げています。
1.遊び
2.情熱
3.夢想
4.孤独
5.直感
6.好奇心
7.瞑想
8.繊細
9.逆境
10.異端
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
1.遊び
柔軟な発想は遊びを通して鍛えられる
創造性を養うためには、柔軟な発想が必要です。そして柔軟な発想は、遊びを通して鍛えられます。ムダなことをあえてするような、そんな遊び心、忘れていませんか?
2.情熱
「うまくなりたい」」という強烈な欲求を持てるものを探す
何か特定の物事に夢中になっている瞬間。私たちは、創造性の萌芽に近づいています。そこには、主体的な努力があり、評価より成長を求める自分がいるものです。
3.夢想
昼も夜も夢を見ながら思考を深める
自分と深くつながり、夢を見るかのように思考すること。事実、ひらめきやアイデアというものは、夢の中で生まれることも少なくありません。
4.孤独
ひとりの時間こそ独創的なアイデアが出る
集団の中にいると、なかなか考えが深まりません。ひとりになり、自分の内面を掘り下げる時間を持つことで、創造性を発揮しやすくなります。
5.直感
「ぼんやり」が型破りなアイデアを生む
理性に従うのではなく、あえて無意識に従ってみること。左脳の働きを抑制し、直感と認知のバランスを意識することで、ひらめきを得やすくなります。
6.好奇心
「知りたい」がイノベーションにつながる
外的な評価や金銭を求めるのではなく、それ自体を求める過程が楽しみとなり、報酬となる。好奇心は、創造性にアクセスする鍵となるのです。
7.瞑想
短い瞑想でも脳は飛躍的に伸びる
スティーブ・ジョブズをはじめ、各界のトッププレーヤーが採用している瞑想。そんな瞑想が、私たちの内にあるクリエイティブ思考を促します。
8.繊細
敏感な人ほどクリエイティブ思考である
ときに天才と呼ばれる人は、他人が思いもよらない部分において、こだわりを見せるものです。その繊細さ、もっと言えば感受性の高さが、内省と成長をもたらします。
9.逆境
逆境でこそ人は成長する
苦しい体験に意味を見出し、その体験をクリエイティブ思考へと結びつけていく。やはり人は、辛い体験でこそ成長するものなのです。
10.異端
個性的に生きる
多数派に異をとなえるのには勇気がいります。しかし、クリエイティブであり続けるためには、積極的にリスクをとり、常にアウトサイダーでいることが求められます。
まとめ
あらためて、本書で紹介されている、クリエイティブ思考が身につく10の習慣について確認しておきましょう。次のとおりです。
1.遊び
2.情熱
3.夢想
4.孤独
5.直感
6.好奇心
7.瞑想
8.繊細
9.逆境
10.異端
“習慣”という言葉が使われていることからもわかるように、クリエイティブ思考とはまさに、日常の中で培われていくものと言えるでしょう。
また、いずれの習慣にしても、通常の生活をしている“オトナ”が見失いがちな要素が盛り込まれています。そこに、創造性につながるヒントがありそうです。
その他にも本書には、クリエイティブ思考を身につけるために必要となる事柄について、ページが割かれています。ぜひ興味がある方は、手にとってみてはいかがでしょうか。
目次
第1章 遊び――楽しいことで脳を刺激する
第2章 情熱――何かに夢中になる
第3章 夢想――自分と深くつながる
第4章 孤独――ひとりの時間で考える
第5章 直感――無意識の声を聞く
第6章 好奇心――非日常の体験で限界を広げる
第7章 瞑想――観察し、点と点をつなげる
第8章 繊細――傷つきながら、深く感動する
第9章 逆境――辛い体験で成長する
第10章 異端――アウトサイダーでいる
まとめ これからの時代に必要とされる知性とは