もはや“老後”など無い!? 平均寿命と健康寿命から考える「老後の不安」という虚構

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「老後の不安」という言葉をよく耳にします。

生命保険文化センターが平成28年に行った調査によると、老後に「不安感あり」と回答した人の割合は85.7%。つまり、9割近くの人が老後の生活に不安を感じているということです。

不安の内容としては、「公的年金だけでは不十分」「退職金や企業年金だけでは不十分」など、お金に関するものが目立ちます。つまり、不安の正体は“お金”にあるようです。

ただ、本当に老後に対して不安を抱く必要はあるのでしょうか。そもそも、老後など存在しているのでしょうか。筆者は、“もはや老後などない”と考えています。

健康寿命は70歳を超えている

厚生労働省が2018年3月に発表した「健康寿命(※)」の推計値(2016年)によると、男性は72.14歳、女性74.79歳となりました。2013年の前回調査より、それぞれ男性0.95歳、女性は0.58歳ほどのびています。

同様に、「平均寿命」ものびています。2016年時点の平均寿命は、男性80.98歳、女性87.14歳と、いずれも過去最高を更新しています。つまり、健康寿命も平均寿命も年々、のびているのが実情です。

このことから、私たちの寿命は“文字通り”のびていることがわかります。健康寿命から考えても、実に70歳を超えて健康のまま活動できるということです。ここに、「老後の不安」に対する違和感の原因があるのです。

※健康寿命:健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のこと

健康寿命と平均寿命との差は10年ほど

次に、健康寿命と平均寿命の差を見てみましょう。

男性では「80.98-72.14=8.84」、女性では「87.14-74.79=12.35」となります。つまり、健康に何らかの問題がある期間は、男性で9年ほど、女性で12年ほどということです。

もし、本当に老後というものがあるとすれば、これら10年足らずの期間を指すべきではないでしょうか。なぜなら、それまでは十分に活動できるだけの健康体なのですから。

それにも関わらず、定年後から死ぬまでの期間を老後と規定し、「老後は3,000万円の預貯金が必要」「年金だけでは不十分」などと考えてしまうのは、果たして正しいのでしょうか?

“老後”という発想は古い

たしかに、定年後は職に就くことを想定せず、余暇などの活動に終止していたかつての人生設計においては、老後という概念もそれなりに意味をもっていたと思います。

しかし、現代のように平均寿命も健康寿命ものび、働き方も多様化している時代においては、老後を20~30年も想定するのは時代遅れではないでしょうか。筆者はそう考えます。

なにより、それだけ長い期間を老後としてとらえ、悲観的になること自体、思考停止と言えます。別に、定年後に働いてもいいわけですし、現にそういう人はたくさんいます。

仕事に対する発想を変えるべき

老後の不安という概念の背景には、仕事をすることは“苦役”であり、そこから解放されるのが定年であるという、何とも悲しい発想が見え隠れしているように思えてなりません。

しかし、仕事というものは本来、人生の生きがいとなり得るものですし、自らを成長させ、人と出会い、社会に対して価値を提供できるすばらしい営みではないでしょうか。

そう考えると、なにも定年後に無職でいる必要はありません。何らかの職に就いてもいいですし、自営や起業、あるいは団体活動などで収入を得てもいいわけです。

だからこそ、もはや老後など無い、と筆者は考えます。みなさんはどう思いますか?

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