文章を書く目的「4+1」

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 「文章を書くとは、どういうことだろうか?」と考えたときに、もっともらしい答えを列挙してみると(どれも先達からの受け売り+αですが)、いわく「自分との対話」、いわく「思考の整理」、いわく「内面化した会話」、そして「他者へのはたらきかけ(あるいは一方通行のコミュニケーション)」、となります。

 おそらく、これらから逸脱した回答は、的を射てるとは言えないでしょう。それだけに、あまり深く考える必要はなく、とりあえず白いフィールドがあるなら、どんどん書いてしまっていい。


 「自分との対話」であるならば、そこに他者が介在する余地はありません。ただ、書くことによって視点が変わったり、容易に振り返ることができるので、文章にするわけです。でも、「今日はいつもより寒いなぁ」とか「寝不足だから眠いや」などといった感情を文章にしても、それはそれで虚しいだけなので、結局はある程度格式張ったものになる。たとえ誰にも見られないとしても、やっぱりその可能性を完全に排除することはできないし、なによりその文章を見た自分が「もう少し見栄えよく書けないの?」と訴えるために、最低限の体裁は整えられる。

 また、「思考の整理」ということであれば、必ずしも文章にすることはありません。マインドマップと呼ばれる、思考の整理に最適な手法もありますし、箇条書きだっていい。絵が得意な人であれば、図解にして分かりやすく整理することもできる。統計やグラフだって直感的なので大いに活用できますよね。だのに、あえて文章を書く。その理由を想像するなら、やはり、会話がしゃべることによって成り立っているからでしょうね。誰も、マインドマップや箇条書きのように話す人はいない。そして、わたしたちのコミュニケーションは、おおむね会話によって成り立っています。

 「内面化した会話」というのはどうでしょう。これ、一見して「自分との対話」に似ていますが、実際にはもっと社会的な活動なんです。どういうことかと言うと、内面化した会話というのは、最初に社会が自分のなかに入り込むことによって、思考や感情が生まれ、その結果として内側から言葉が発生する、ということです。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、わたしたちの言葉は、社会と関わりあうためにあります。つまり、誰もいないところで生じる自分の感情は、言葉にする必要がないはずです。そう考えると、社会に対して自分が感じたことを、誰かに伝えるための言葉。その前段階として、文章があるということになります。自分の考えや思いつきを確かなものにするために、内面化した会話として文章を書く。つまりはそういうことです。

 最後の「他者へのはたらきかけ」は、言葉どおりですね。手紙やメール、最近ではチャットとかLINEのようなコミュニケーションを前提とした文章です。ファンを意識したブログやソーシャルメディアへの投稿も、こちらに分類されるでしょう。要するに「おしゃべりの代わり」です。作文を書けない子ども(あるいは大人)が多いと言われていますが、おしゃべりの代わりとなる文章であれば、比較的スラスラと書けてしまうのではないでしょうか。不思議なものです。もっとも、それは、話すように書いたら先生や上司にダメ出しされた、からかもしれませんが。

 実は、文章には、もう一種類の役割があります。お気づきの方もいるかもしれませんが、それは「伝える文章」です。いわゆるプロの文章ですね。文章を書いてご飯を食べようと思うのなら、これができなければお話になりません。思考の整理をしていて、それが面白いと思われる人は、ほんの一握りでしょう。伝える文章とは、情報や感情、あるいは知識を、相手に理解させることができる文章のことです。とくに、難しい内容を平易にしてくれたり、複雑な状況をまとめてくれたり、バラバラに散らばった情報をひとまとめにしてくれる、そんな文章は好まれます。つまり、技術として買われる。

 新聞、雑誌、書籍、パンフレット、チラシ、企画書、作文、ホームページ、webサイト、その他各種メディアにおいては、伝えることができる文書が必要です。どんなに優れた商品も、どんなに必要とされるサービスも、伝わらなければ意味がありません。年間8万冊、一日換算で200冊以上出版されている書籍の中から、どれだけ伝わる文章が使われているでしょうか。甚だ疑問です。どんなに優れたコンテンツも、伝わらない文章で書かれてしまったら、あるいは永遠に埋もれてしまうかもしれないのです。

 それこそ詞とか俳句とか(最近はいないか)、あるいは曲とか絵とか、表現の仕方は数多くあれど、やはり、圧倒的な情報量を誇るテキストの存在は、これからも重要視されるでしょう。何を伝えるべきなのか、後世に残すべきなのかは分かりませんが、少なくとも、未来の人々が読んで生かせるようなものを、ひとつでも多く生み出していかなければなりません。

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