ひとつの物事に集中することができれば、どれほど人生は実り多いものになるでしょうか。仕事への集中、趣味への集中、そしてコミュニケーションへの集中。どれも、人生を豊かにしてくれるために欠かせないものです。
しかし一方で、現代は、集中しづらい環境であることは間違いありません。なぜなら私達の身近には、つねに、集中力を奪うものがあふれているからです。では、どうすれば集中力を高めることができるのでしょうか。具体的な秘訣を探りました。
「集中」とはどのような状態か
そもそも集中している状態とは、ひとつのコトやひとつのモノだけに向かっているときのことを指します。たとえばゲームが好きな人は、ゲームをしているとき、ゲームのことだけ考えているはずです。それが集中です。
その集中を、仕事やコミュニケーションに活かすことができれば、これまでよりも多くの成果をあげられる可能性があります。なぜなら、集中することで物事が早く片付くだけでなく、濃密な時間を過ごせるためです。
ただし、とくに現代においては、集中に悩んでいる人が少なくありません。集中できずに気が散ってしまう人、ダラダラと仕事をしてしまう人、挙句の果てにやるべきことを後回しにしてしまう人。それらはすべて、集中力の欠如が原因となっているのです。
集中“していない”状態とは
次に、集中している状態の反対、“集中していない状態”について考えてみましょう。おおむね、集中していない状態とは次の通りです。
- 気が散る(他の物事が気になる)
- やる気がでない
- 疲れを感じる
- すぐに飽きてしまう
つまり、「気が散る」「やる気がでない」「疲れる」「飽きる」の4つを解消してしまえば、自ずと集中できる可能性が高まることになります。
よく聞く「集中できない」「集中力がない」というのは、上記のようないずれかの状態をそのまま放置していることが原因です。障害をすべて取り除いてあげれば、集中力を高めることは可能なのです。
集中力を阻害する原因を取り除く
集中を妨げる4つの状態について理解したところで、実際に、それらをなくす方法について見ていきましょう。以下のとおりです。
①気が散る要因を排除する
気が散る(他の物事が気になる)という事態を避けるには、シンプルに、「気が散る原因となる物や事を排除する」しかありません。たとえば、机のまわりを整理したり、仕事場所に余計なものを置かないなどの工夫をすればいいのです。
集中するべき対象に関係のないものがあれば、どうしたって気が散ってしまうもの。だからこそ、あらかじめそれらを排除し、気が散らない状態を保つよにするのです。整理整頓が大事とよく言われますが、こと集中においては間違いありません。
ex.)メールを見ない、スマホを遠ざける、耳栓をする
②やる気をコントロールする
やる気の減退を避けるには、「集中するべき意義や目的」を考え、つねに忘れないようにすることが大切です。自分はなぜその対象に集中するべきなのかを深く理解していれば、やる気が途切れることなく持続します。
それでもやる気が出ない場合には、「ご褒美」と「恐怖心」を活用するといいでしょう。ご褒美とは、「これが終わったら好きな◯◯ができる」などと考えること。恐怖心とは、「これができなければ◯◯のような未来がまっている」などと考えることです。
ex.)「なぜそれをやるべきなのか」「どんな利点があるのか」「やらないとどうなるのか」
③疲れを解消する
疲れを感じてしまうのを避けるためのアプローチには、二通りあります。ひとつは、疲れないように工夫すること。もうひとつは、適度に休憩をとること。この二つのアプローチによって、疲労を回避するのです。
疲れない工夫とは、「姿勢を意識する」「定期的に体を伸ばす」などが挙げられます。また、長時間のパソコン作業が必要となる方は、PCメガネなどを活用するのもいいでしょう。その上で、適度に休憩をはさむことが大切です。
ex.)定期的にコリをほぐす、同じ姿勢を続けない、意識して休憩をとる
④飽きない状態を構築する
“飽き”というのはやっかいなものです。はじめは楽しかったことでも、慣れてくると飽きてしまう可能性があります。では、どうすれば飽きるのを避けられるのでしょうか。ポイントは、新鮮さを保つ工夫をすることにあります。
たとえば、場所をかえてみたり、スピードや質、量の向上を目指して努力してみたりするだけでも、飽きにくくなります。とくに「空間」と「時間」を意識して変えることが、飽きてしまうのを避けることにつながるのです。
ex.)場所を変える、やり方を工夫する、時間を測る
集中本にみる集中力の高め方
「理屈はわかってもなかなか集中できない」。そのような人のために、いくつかの“集中本”から、集中するためのテクニックを紹介しましょう。実践してみることで、自分に合った方法がみつかるかもしれません。
『仕事はうかつに始めるな ―働く人のための集中力マネジメント講座』
・気を散らすモノを遠ざける
・いやいや始めない
・終わりの時間を決める
・強いストレスを感じる→一気にリラックスする
・小さな目標を立てる
『今すぐ! 集中力をつくる技術――いつでもサクッと成果が出る50の行動』
・「15分」を繰り返す
・「もうちょっとやりたい」ところでやめておく
・「やること」は、考えないで書き出す
・「集中タイム」を決めておく
・最初の1文字を打つ
『精神科医が教える集中力のレッスン』
・「将来への期待」を利用する
・「難しいが可能」なレベルの目標を立てる
・「いつ」「どこで」「どのように」「どれぐらい」をイメージする
・「To-doリスト」で目標を具体化する
・(ネットに)「つながらない」時間を大切にする
集中できれば人生が変わる
マルチタスクが当たり前になっている昨今。特定の分野で秀でるためには、特定の分野に集中する必要があります。より深く誰よりも集中することにより、一角の人物になることができるのです。それはとくに、現代では重要なことと言えるでしょう。
もはや、ゼネラリストは評価されない時代になりました。将来、雑用はロボットが代替してくれるはずです。そのときに活躍できるのは、特定分野で誰よりも高いスキルをもっている人だけです。そのカギを握るのは、やはり、集中力に他なりません。