論理的に物事を考える際のキホンとなる「序論―本論―結論」。それを文章に適応したものが「パラグラフ」です。
英語圏では、言語学習の一環としてはやくからパラグラフを学びますが、日本においては、高校英語で「パラグラフ・リーディング」を学ぶ程度。だからこそ日本人は、諸外国の人に比べて、論理的に物事を考えるのが苦手なのかもしれません。
そこでこちらの記事では、パラグラフおよびパラグラフ・ライティングについて詳しく解説いたします。(参考:『大学生・社会人のための言語技術トレーニング』 )
パラグラフとは
パラグラフとは、いくつかの文(※)からなる、まとまった文章(※)のことです。日本では「段落」と同一視されがちですが、厳密には異なります。
両者の違いは、パラグラフには明確なルールがある一方、段落にはありません。共通点は、文頭を1字下げること、および改行することです。
※語・句・節・文・文章の違いについて
例)
ボクのバッグは昨日までこのテーブルの上にあった。でも、今はどこにも見当たらない。
語:単語のこと→「バッグ」「テーブル」
句:2語以上の主語・動詞がないもの→「テーブルの上」
節:2語以上の主語・動詞があるもの→「バッグはテーブルの上にあった」
文:文頭から句点(。)まで→「ボクのバッグは昨日までこのテーブルの上にあった。」
文章:複数の文→「ボクのバッグは昨日までこのテーブルの上にあった。でも、今はどこにも見当たらない。」
パラグラフの基本構造
パラグラフの構成は、次の3つにわかれています。
1.トピック・センテンス(序論):書き手の主張
2.サポーティング・センテンス(本論):主張の根拠や事例、説明
3.コンクルーディング・センテンス(結論):まとめ
例)
我々は傘を買ったほうが良さそうだ。(トピック・センテンス)
空はくもっている。空気は湿っている。予報も午後は雨だ。(サポーティング・センテンス)
濡れないために、傘を買っておこう。(コンクルーディング・センテンス)
1.トピック・センテンスの書き方
トピック・センテンスの役割は、「話題の提供」および「話題の制御」の2つです。つまり、どのような話題を提供するのかを明確にし、「その話題について知りたい!(読みすすめたい!)」と思わせるようなものにしなければなりません。
例)
集中力を高めるには、難解な書籍を読むといい。
→話題:「集中力を高める方法について述べるようだ」
→興味:「なぜ難解な本を読むと集中力が高まるのだろう?」
2.サポーティング・センテンスの書き方
サポート・センテンスの役割は、「トピック・センテンスのサポート」です。具体的には、トピック・センテンスを支える「定義」「事例」「根拠」「説明」などを提供します。
例)
集中力とは、ひとつの物事に専念するための力のことだ。(定義)
たとえば、難解な書籍を読むには、集中力が不可欠である。(事例)
そのため、難解な書籍を読むことによって、集中力が鍛えられる。(根拠)
集中力は、筋力や精神力と同様に、鍛錬することで高まると証明されている。(説明)
3.コンクルーディング・センテンスの書き方
コンクルーティング・センテンスの役割は、「まとめ」です。サポート・センテンスで述べた内容をまとめつつ、トピック・センテンスで述べた主張を“本質を変えずに”言い換えます。
例)
その結果、難しい書籍に挑戦することが、集中力の向上のにつながるのだ。
なぜ、パラグラフを使うべきなのか
パラグラフを意識することによって、文章はより論理的になります。論文が全体として「序論―本論―結論」の形式をとっているように、ひとつひとつのパラグラフも「序論―本論―結論」とすることによって、論理からブレずに文章を書き進めていくことができるのです。
小論文、レポート、論文、そして企画書などのビジネス・ライティングにおいても、ぜひ、パラグラフのスタイルを取り入れてみましょう。きっと、これまでより論理的な文章が書けるはずです。
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