ウンベルト・エーコの小説講座

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ウンベルト・エーコの小説講座: 若き小説家の告白 (単行本)

ウンベルト・エーコの小説講座: 若き小説家の告白 (単行本)

何をもってして「クリエイティブ」かという議論はあるものの、クリエイティブな作家というのは、果たしてどのような存在なのでしょうか。

こと現代において、本来的な意味における“新作”というものはないのかもしれません。どんな作品でも、すでに、誰かが似たようなものを発表している可能性がある。

そうなると、クリエイティブという言葉の意味もあやしくなります。創作。誰かがつくったものを、それと知らずにつくったとして、果たしてそれはクリエイティブなのでしょうか。

ともすると、私たちにできることは、「クリエイティブであろうとする」ことだけなのかもしれません。あろうとする姿勢そのものが、唯一、作家としての真摯さといえる。

本書においても、“クリエイティブな作家”についての言及があります。引用してみましょう。

「クリエイティブな作家」とよばれる人々は、自分の作品についての解釈をけっしてあたえてはいけないということです。テクストとは、読者の仕事に一部を任せたがる怠惰な機械なのです。言い換えれば、テクストとは、多様な解釈を引き出すための装置なのです。

「クリエイティブな作家」という視点から、テスクト論にまで派生させているところはさすがという感じです。

たしかに、類似している作品があったとしても、そこからどんな解釈を得るかは読者によってさまざま。そこに、本来的な意味でもクリエイティビティがあるのかもしれません。

※以下、ウンベルト・エーコの小説講座: 若き小説家の告白 (単行本)Amazonホームページより

高名な中世美学研究者にして哲学者が、ある日ベストセラー小説家に!処女作『薔薇の名前』ほかの世界的名作・話題作は、どのような方法で生み出されたのか。最初のアイディア、緻密な調査・考証の方法、「リスト」作り、さらには創作世界と読者と作家の関係。五〇歳目前にして小説を書き始めた、自称「とても若く将来有望な小説家」が、創作の手のうちを見せる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

エーコ,ウンベルト
1932年、北イタリアのアレッサンドリアに生れる。哲学・中世美学・記号論・メディア論の分野において、世界的知識人として名を知られるようになる。しかるのち、50歳目前にして小説『薔薇の名前』を刊行。この処女作が大ベストセラーとなる。著書の多くが世界各国で翻訳されている。2016年没

和田/忠彦
1952年生れ。東京外国語大学名誉教授。専攻、イタリア近現代文学・文化芸術論

小久保/真理江
1980年生れ。東京外国語大学特任講師。専攻、イタリア近現代文学・文化芸術論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

ウンベルト・エーコの小説講座: 若き小説家の告白 (単行本)

目次

1 左から右へと書く(クリエイティブ・ライティングとは何か?
むかしむかし ほか)
2 作者、テクスト、解釈者
3 フィクションの登場人物についての考察(アンナ・カレーニナのために泣くということ
存在論vs.記号論 ほか)
4 極私的リスト(実務的リストと詩的リスト
列挙の修辞 ほか)

著者

エーコ・ウンベルト
1932年、北イタリアのアレッサンドリアに生れる。哲学・中世美学・記号論・メディア論の分野において、世界的知識人として名を知られるようになる。しかるのち、50歳目前にして小説『薔薇の名前』を刊行。この処女作が大ベストセラーとなる。著書の多くが世界各国で翻訳されている。2016年没。

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